FX初心者から中級者になる3つのチャートパターン
最終更新日: 2020年08月02日
FX初心者から中級者になるためには、やはり“マーケット経験”と呼ばれる、「実際の相場についてどれだけ触れてきたのか?」が大切になってきます。
しかしながら、厳しい事にFXは、ただ闇雲に相場を張り続けたからと言っても道が開けるものでは無く、それは一部の「マーケットの“コツ”や“特徴”と言うものを肌で感じ取る事ができた人間」にのみ中級者や上級者への道が示されます。
そこでここでは、自分は上級者とまでは呼びませんが、マーケットで生き残っている者の1つの意見として中級者になるためのチャートパターンの分析について紹介してみたいと思います。
ここで紹介するチャートパターン分析についての内容は、FXを始めたばかりの初心者にとっては少しハードルが高いものが有り、理解に苦しまれる事が多い内容になってしまっています。
そこで、もしも1度読んでも理解ができない場合には、サイト内の他の記事を読んで頂いた上で、「それでも中級者の壁に目の前を塞がれてしまった」と言う時に再度読み返して頂ければと思います。
内容構成は以下の通りとなっています。
ストップをイメージした3つのチャートパターン
始めに3つのチャートパターンについて、以下のローソク足でチャートパターンA・B・Cをご覧ください。
チャートパターンA・B・Cは、それぞれ「一定の高値から始まり」、「一定の安値まで下降し」、その後、「一定の高さまで戻る」と言うチャートのイメージになります。
緑のラインで「ストップ」と言う風に表示していますが、このストップラインについては後で詳しく解説はしますが、事前に「自分のポジションに対するストップでは無く、既存のロングポジションに対するストップ」だとイメージしておいてください。
つまり、「上の3つのチャートパターンが何を表しているのか?」と言うと、「既存の買いポジションを刈り取って、反転上昇を見せたチャート」と言う事です。
※ ここから個々のチャートパターンについての話に入っていきますが、急激に話が複雑になってくるため、まずはこの時点で、しっかりと上のチャートの状況だけは頭に焼き付けて頂ければと思います。
個々のチャートパターン解説
続いて、A・B・Cのチャートパターンについて、個々に解説をしてみたいと思います。
チャートパターンA
始めにチャートパターンAについてですが、Aのパターンは最後の陰線で下髭が長く伸びたチャートパターンになります。
この形状は、ローソク足によるテクニカル分析における「相場の反転パターン」とも一致する形状(安値圏での大陰線)なのですが、実は、このようにマーケットが推移した場合、最後の陰線で「大損をしたトレーダー」が沢山います。
それは、「大陰線となっている」と言う事が全てを物語っているのですが、簡単に解説をするならば「それまでに買いポジションを持っていた人がポジションを投げた」からです。
この「ポジションを投げる(損切りをする)」と言う行動が出た理由については、それぞれのトレーダーによって認識は違ってきますが、例えば、「マーケットが重要なポイントを大きく下抜けしたため」や「ストップ注文を誘発した(損切りラインに掛かった)ため」と言う方もいらっしゃいますが、こう言った大陰線で引けるケースでは、損失に耐え切れずに「投げ売った(値段や評価も関係無く、とにかく売り捌いた)」と言う方もいらっしゃいます。
そう言った方々がポジションを投げてしまう際、それまでのロングポジション(買いポジション)を持っていたものを反転させるための取引(決済取引)を行うため、結果的に「売り取引」を行う事になります。
その「売り取引」が更にマーケットの下降を加速させ、更なる「投げ売り者の発生」や「ストップオーダーの誘発」により、気が付けば「これは余りにも売られすぎだろう」と言う見方から相場を包み込むようになります。
これがAのチャートパターンで下髭陰線を付け、その後、大きな反転を見せた理由になります。
チャートパターンB
続いてチャートパターンBについてですが、チャートパターンBでも最後の陰線が大きなものとなり引けていますが、Aのパターンと違って、ここでは下髭がほとんど見られない陰線となっている事が分かるかと思います。
そして、直後の足が大陽線となる事で、これもローソク足の反転パターン(包み銭)特有の形状になっている訳ですが、このチャートパターンとなるケースは、Aの相場と比較して反転を感じにくいと言う特徴が有ります。
Aのパターンの場合、下髭となるポイントでマーケットが推移する時間は非常に短く、直感にも似たエントリー(取引)が必要になってくるのですが、Bのパターンはそれに比べるとエントリータイミングは比較的多くなります。
しかし、次の大陽線となっている足を見て頂けると分かるように、少し下には下髭がついており、継続した下降相場になるパターンも有った事が示唆されています。
そうなんですね。エントリーとしてはAよりも時間が有る分、次の陽線となっている足で下抜けする事も多く、この下値を抜けたところで大きな下髭を付けるような速い相場展開となり反転を見る事も多くあります。
ただ、なぜこのチャートパターンをここで紹介したのかと言うと、実は、このチャートパターンは経済指標発表時や、要人の発言時などに付ける事が多く、それは指標や要人の発言等が、事前に決まった時間に発表される事から起こります。
例えば、9時に発表予定の経済指標が、「悪い内容が発表されるのでは?」と言う見方から売り込まれていたにも関わらず、9時の結果を見ると「非常に良かった」と言うケースなどで発生する事がしばしばです。
指標が絡んでくると非常に乗り難いチャートパターンとなりますが、この形状でローソク足が確定した場合、「その底値(大陰線が付けた安値)は堅いと強くマーケットが意識する」と言うのがチャートパターンBの特徴となるので、マーケットを見る上で外せないパターンとなります。
チャートパターンC
最後にチャートパターンCについてですが、チャートパターンCはチャートパターンA・Bとは打って変わって、大陰線と呼ばれる大きな陰線が底値(安値)とはならずに、小さな陰線陽線の攻防の末、マーケットが上昇しています。
このようなチャートパターンは、ソーサーボトム(お皿のような底形状である事から)と呼ばれているのですが、これもまた、ローソク足を研究されている方にとってはマーケットの反転を示す強いシグナルと言われています。
特に、最後の陰線を付け反転の兆しを見せる陽線が、陰線の終値と陽線の始値で少しずれている事が分かると思うのですが、このような展開が見られる場合の傾向として「突如としてマーケットに大きな影響を与えるニュース(反転を促すニュース)が飛び出した可能性」を示唆するものとなります。
ソーサーボトムの特徴として、売り込みが入りマーケットが勢い良く下降したものの、その後、マーケットからは材料が失われ(動意薄い)、それ以上の売りに関してマーケットが不安視する一方で、買い材料にも事欠く状況から作られます。
そのため、底値付近では著しく少ない取引量となってしまう傾向が多く、例えば、日本時間に入る前のオセアニア時間(日本時間5時~7時辺り)や、ニューヨークタイム後半(日本時間3~4時辺り)に散見されます。
また、チャートパターンCは、チャートパターンA・Bと比較して圧倒的にロング(買い注文)を入れる時間が長く、反転材料がフロー主体(実需の買いオーダー等)の場合には、その後、反転し安値を更新する事でさらなるストップ刈りを誘発させるケースも少なからずあるため注意が必要になります。
チャートパターンからのフローの動き
これまで紹介してきたチャートパターンについては、FXを始めたばかりの初心者の方でも気が付くポイントとなりますが、ここから先の話が中級者の壁を打ち破るための「一般的なトレーダーは余り知らない話」となってきます。
そのため、FX初心者のサイトであるにも関わらず少し専門的な相場用語が入ってきていると思いますが、良く理解ができない方は、まだ中級者への壁に挑むための基礎的な知識が備わっていない可能性もあるため、他のサイト内ページを読んで頂いた上で、再度閲覧して頂ければと思います。
チャートパターンAのフロー
チャートパターンAは、「大きなストップを巻き込み加速した下降を示したチャートパターンであること」を先に紹介しましたが、このストップを誘発させるために「ヘッジファンドが売りを入れているケース」や「一時的な不安要素が発表されたケース(経済指標やニュース等)」が非常に多く見られます。
特に、ヘッジファンドによる仕掛けが入った際には、「仕掛けが入った次のローソク足(陽線となっているローソク足)」で再度下抜けを狙ったような動きが入りやすい傾向が有りますが、そこでは「ファンド関連からの利益確定の買い」や「反転を狙っての新規買い入れ」が入る事が多く、そのポイントで買いを入れる時間は非常に短いケースがほとんどとなります。
また、このようなローソク足形状が日足レベル以下の時間軸で発生した場合には、「ダブルボトム」や「三尊(ヘッドアンドショルダー)」をイメージさせるチャートを作りやすいため、反転後の高値圏では底値付近で持ったロングポジションをしっかり利益確定させる事も戦略の1つとなります。
その一方で、大きな下髭を付けた陰線に対して、ファンド関連からの仕掛けの意図を含み、次のローソク足で更に安値を更新するような動きを見せる事も有りますが、そう言った場合には、「かなり強い売り」を意識する必要が有り、買いはしばらく様子見をして、マーケットが下げた要因について再度考察する必要が有ります。
チャートパターンBのフロー
チャートパターンBのフローは、仕掛けがローソク足の切り替わるギリギリまで入っているケースで、チャートパターンAと比較して、ファンド関連の売りが強く、大陽線となっているローソク足では更なる陰線(ストップ刈り)を付けようと動いていた事を考慮する必要があります。
特に、こう言った動きの反転は、突如として企業からの実需フロー(企業の実需による買いや売り)が入るケースでも散見され、企業は「短期的な大量の買い」と言う手法を用いる事が多いため、ファンド関連が慌ててポジションを反転させるため(利益確定もしくは売りから買いに)、先にも紹介しているように「安値が意識されやすい」チャートになりやすい傾向があります。
また、この売り込みにモデル系ファンドが絡んでいる場合には、非常に反転速度が速く、陽線が大きくなり始めると一気に大陽線まで成長しやすい傾向にあるため、反転を確認してからロングに入る場合に、かなり短い時間しか残されていません(用語参照:マクロ系・モデル系ヘッジファンドについて)。
チャートパターンCのフロー
最後にチャートパターンCについてですが、チャートパターンCのフローでは、緑のストップラインの下ではマクロ系ファンドの買いが入っている事が有り、なかなか下抜けする事が難しくなっているケースがみられます(用語参照:マクロ系・モデル系ヘッジファンドについて)。
そのため、動意薄となっているマーケットであったとしても、比較的底堅く推移する事があるのですが、こう言ったソーサーボトムを形成する際に、モデル系ファンドの売りが大きな切っ掛けとなっているケースも散見されます。
例えば、上のチャートのようなケースでは、最後の陰線がモデル系ファンドの仕掛けが入ったポイントなのですが、モデル系ファンドが本格的に底値割れを狙って仕掛けたタイミングで一気にマーケットが反転します。
そのため、上のチャートでは底値割れをしておりませんが、下髭で少しだけ下抜けした後に反転を見せ、数分の内にマーケットが一気に上昇する事が有ります。
これは、モデル系ファンド特有の仕掛け方なのですが、一瞬、底抜けを示した事でマーケットを更に下がるように見せかけたところで、売りポジションを一気に反転させ同時に買い仕掛けを行います(底抜けを受けて損切りする投資家と、ブレイクを狙って新規売りポジションを持つ投資家を誘うため)。
このような急激な変動に対して、それまでショートポジションを持っていたファンドや投資家の中でも腰の軽いところは、瞬時にポジションを利益確定させるため、マーケット上昇の流れは加速する傾向があります。
また、事前にマクロ系のフローが話題となっているケースでは、バックにマクロ系が付いている事を感じて、底値をバックにした機関投資家による買いオーダーが集まりやすいのも、このチャートパターンCの特徴となります。
FX初心者から中級者になる3つのチャートパターンのまとめ
「FX初心者から中級者になる3つのチャートパターン」のまとめです。
最後に、このようなチャートパターンにも、“だまし”と言われる展開はもちろん存在しており、そのエントリーの確率を上げるために他のテクニカル指標やアイデアを盛り込む必要が有ります。
私の場合にはファンダメンタルズ分析を取り入れ、各フロー等に気を配る事で実現しておりますが、テクニカルトレーダーの皆様はオシレーター系指標等を取り入れる事により、新たなシグナルや手法としての道を模索し初心者トレーダーを脱して頂ければと思います。
今回、チャートパターンについてお話をさせて頂きましたが、正直、基礎のようなお話でありながらも奥が深かったと感じて頂けたのでは無いでしょうか?初心者トレーダーと中級者トレーダーの差は、本当に小さいので、是非、こうした知識を繰り返しご覧になって覚えてみてください!
- チャートパターンに対してフローを考察する
- チャートパターンの裏を読む技術を身に付ける
- ファンド関連の動きの特徴をチャートパターンに盛り込む
- チャートパターンの確率を上げる方法を独自に模索する
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