レバレッジの規制は初心者には痛い?

最終更新日: 2020年07月31日
近年、FXのギャンブル性の高さにより、特に初心者による過剰投資が目立つようになりました。そのため破産者や借金生活へと転落する人達が増えていく現状を重く見た政府により、レバレッジが規制される動きとなっています。
レバレッジが一体どう言うものなのかについては、「レバレッジとは何か?」を参考にして頂きたいのですが、ここでは、このレバレッジ規制がFX初心者に与えた影響について紹介していきたいと思います。
レバレッジを使った資産運用

FX(外国為替証拠金取引)で資産運用をするのであれば、FX初心者やプロを問わず是非とも使ってみたいレバレッジですが、レバレッジをかけた資産運用としての最大の利点としては、少ない資産で大きな利益を上げる可能性を秘めている事にあります。
反面、レバレッジは自己資産の何倍もの資産を、あたかも自分が持っているかのように仮定して取引を行う魔法の取引ルールなので、もちろんレバレッジが高ければ高い分だけ自己資産に対するリスクは大きくなっていきます。
例えば下の画像を見て頂きたいのですが、レバレッジの語源である「レバー(lever)」つまり梃子の原理を用いて作られている、紙を正確な大きさに小さな力で切る事ができる非常に便利な道具です。誰しもが1度は見た事がある?と思います。

この道具は「ペーパーカッターやギロチンカッター」など様々な名前で呼ばれるものですが、このペーパーカッターは重なって分厚い紙を小さな力で切ることができますが、想像したくないですが誤って手を挟んでしまうと大きな怪我をしてしまいます。
レバレッジとは正にこれと同じで、上手に使う事で小さな資金で大きな利益を出せますが、誤った使い方をすれば出血するような損を出してしまいます。
しかし、例に上げたペーパーカッターのように怪我をする可能性があるから?と言って、便利な道具を避ける人は居ないと思います。要は使い方を覚える事が重要なポイントになります。では投資家達はどのようにしてレバレッジを使っているのでしょうか?
リスクを背負う時間とリスクの許容
まず基本的な事ですが、FXはある通貨を買う(売る)事により違う通貨へと交換する取引を行い、一定期間そのまま保有した後に最初に行った取引とは逆の売買を行う事により利益または損益を確定させる事により成立します。
もう少し分かりやすく説明すると、日本円を売ってアメリカドルを買った後に、しばらくアメリカドルを保有しておき、その後、アメリカドルを売り日本円を買う事で、アメリカドルを保有していた間にアメリカドルを買った時より通貨価値が変動していれば利益や損益が出ると言う事になります。
このようにしてFXの取引は行われるのですが、最初に取引を行ってから、その取引の利益や損益を確定させるまでの間が通貨の価値が変動する事となるので運用している資産に対してリスクを背負っている状態となります。
つまり、このリスクを負っている状態の時間が短ければ短いほど、高いレバレッジをかけたとしても総合的に考えるとリスクが小さくて済んでいると言う事になります。
近年のFX取引では、優れた売買システムの導入による取引の高速化が行われており、プロのトレーダーの中にはスキャルピングトレードと言って、リスクを負う時間を数秒~数分の間にして1日に何度も売買を繰り返すトレーダーもいます。
こう言ったスキャルピングトレーダーの様に短期売買を行う人は、リスクを負う時間が普通のトレーダーと比べて極端に短いために、高いレバレッジによる取引を行っていたとしても、取引の全体的なリスクと言う意味では低レバレッジにて長期間保持する取引と同じリスクを負った資産運用を行っていると言えます。
つまり、FX初心者の方々もレバレッジと上手く付き合っていくためには、自分の資産をリスクに晒す時間に対してのレバレッジ率を上手く設定する事で、リスクに対してのリワードが整った運用になりやすくなります。
また、リスクの許容量については、逆指値(ストップ)を入れる事により損切りを行う事で高いレバレッジでの取引を行った場合でも、リスクリワードを調節する事ができます。
政府が規制したレバレッジについて、実は規制される前から上手い投資家は上記のようなテクニックを使い、上手くリスクコントロールを行っていました。逆にリスクコントロールを学んでいない人は、いくら勝っても何処かで痛い目にあっているケースが目立ちます。
FX初心者にとって逆に初期投入を増やす要因となったレバレッジ規制
「レバレッジについて上手い投資家は事前にリスクコントロールをしていた」と上で書きましたが、実は2011年8月よりFXのレバレッジは25倍までと制限されてしまいました。
FX初心者をあたかも守るためのようなレバレッジ規制ですが、全盛期に100倍や400倍のレバレッジで取引ができていた頃が懐かしくなるような、25倍まで現在はなっています。
これは、自己資金に対して25倍までの取引を行う事ができる事を意味していますが、例えば以前であれば1万円持っていれば400万円もの取引を行う事ができていたのに対して、現在は25万円までとなっています。
このレバレッジの規制がFX初心者の資金を守る事になるのか?と言うと疑問符が残る事となります。
それは、強制ロスカットと言うシステムがあるからです。
例えば、証拠金維持率が100%で強制ロスカットが執行されるとすると仮定します。運用資金は10万円でアメリカドルを1ドル100円の時に1枚、つまり1万通貨分の買い取引をした場合、レバレッジ400倍と25倍では強制ロスカットが出る場所が違ってきます。
●レバレッジ400倍の場合
- 1枚の取引を行う最低証拠金:1,982円
- 強制ロスカット値(証拠金維持率100%):90.199円
- 強制ロスカットまでいくら耐えれるか:-9.801円
- 強制ロスカットされた後の証拠金:1,982円
●レバレッジ25倍の場合
- 1枚の取引を行う最低証拠金:31,712円
- 強制ロスカット値(証拠金維持率100%):93.172円
- 強制ロスカットまでいくら耐えれるか:-6.828円
- 強制ロスカットされた後の証拠金:31,712円
●レバレッジ25倍と400倍の違い
注目して頂きたいのは「強制ロスカットまでいくら耐えれるか」です。つまり、取引を行ってから予想した方向からいくら相場が逆行したら強制ロスカットになるかです。レバレッジ400倍の場合には-9.801円、25倍の場合には-6.828円となっています。
これは、レバレッジが25倍になった今、レバレッジ400倍の時と比べると同じ証拠金では3円を早く強制ロスカットになる事を意味しています(証拠金維持率がどちらも100%とした場合)。
FXを始める初心者の方は、長期運用で外貨預金の変わりに始める人が多いので、このレバレッジ変更により多くの資金が必要になってしまった事が分かります。ちなみに、今回の場合は1枚(1万通貨)での取引だったので3万円の証拠金を追加する事ででレバレッジ25倍でも9円耐える事が可能になります。
FXを始めるために証拠金が増えてしまった事は、FX初心者にとって「FXを体験したい」と言う「お試し」の気持ちでも多くの資金を振り込んでおく必要が出てしまいました。
この対策として、FX会社は最小取引額を引き下げ1万通貨から1000通貨や100通貨単位の取引に力を取り入れています。そこで、これから始める初心者の方は、1000通貨や100通貨を利用しての取引を始めるようにして小額からのFXを始める方が増えています。
1000通貨と100通貨から取引できる口コミ情報やFX会社のデータのリストです。
◇1000通貨からの取引を行う事ができる会社
◇100通貨からの取引を行う事ができる会社
初心者の方は今も以前と変わらずに初期投資金額が小さい事を理想としている訳ですし、最初から大金で始めようとは思わないはずです。レバレッジは厳しくなってしまいましたが、業者側もその流れに対応をみせているので、上手くその流れを利用するのが初心者にとって吉だと言えます。
レバレッジの規制は初心者には痛い?のまとめ
レバレッジの規制は初心者には痛い?と言うお話を少し詳しめにさせて頂きましたが、気に入ったFX会社さんは見つかりましたでしょうか?最後に今回の総括をご覧ください。
- レバレッジは少ない資産で大きな利益を上げる可能性を秘めている
- リスクはレバレッジではなく、取引を行っている時間とレバレッジの割合で考える
- レバレッジの規制が行われ、初心者が始めるための必要証拠金が上がり、共にFXを始めるための敷居も上がった
- 初心者の多くは1000通貨や100通貨単位での取引から始めるようにシフトしてきている
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