キーワードは『復興税』FXの税金2013年
最終更新日: 2020年08月09日
2012年はFXの税金のシステムが大きく変更された年となりましたが、2013年からは「復興税」が導入された事により、少しだけFXの税金が変わっています。
2013年は、2012年に大きく変更された税制から比べると小さな変化ですが、税金を納める投資家にとっては大きな変化となります。
FXの税金は「一律20%」から「一律20.315%」に変更
2012年より、FXやCFDなどの損益に対して取引所取引と店頭取引の税制が統一された事により「一律20%」となりましたが、2013年1月1日より発生した利益に対しては、「一律20.315%」が適用される事になりました。
2012年の税制改正の適用にともない2012年1月1日以降に行われる店頭FX、または店頭CFDなどの店頭デリバティブ取引に係る税制が取引所取引と一本化され、税率20%(所得税15%・住民税5%)の申告分離課税へ変更されましたが、東日本大震災の発生を受け2013年より「復興特別所得税」が適応され、税率20.315%(所得税15%・復興特別所得税分0.315%・住民税5%)の申告分離課税へと変更されました。
2011年の税制 (総合課税) |
2012年の税制 (申告分離課税) |
2013年の税制 (申告分離課税) |
||
---|---|---|---|---|
課税所得金額 (給与所得等と合算) |
195万円以下 | 15% | 利益に対する課税額 一律「20%」 |
利益に対する課税額 一律「20.315%」 |
195万円~330万円以下 | 20% | |||
330万円~695万円以下 | 30% | |||
695万円~900万円以下 | 33% | |||
900万円~1,800万円以下 | 43% | |||
1,800万円~ | 50% |
FXやCFD等による取引利益に対する課税は2012年時の一律20%と比べ、2013年からは一律『20.315%』となり『0.315%』の増税幅となります。
しかし、『復興特別所得税』は全ての基準所得税額に対して『2.1%』の増税となっているため、その他の所得に対しては必ずしも『0.315%』の増税幅ではないため注意が必要です。
キーワード「復興特別所得税」とは?
2013年度からFXの税金のキーワードと言える「復興特別所得税」とは、どう言ったものなのでしょうか?もう少し詳しく「復興特別所得税」について学んでおきましょう。
まず、国税庁のホームページでは「復興特別所得税」について以下のように記載がされています。
「東日本大震災からの復興のための施策を実施するために必要な財源の確保に関する特別措置法」(平成23年法律第117号)が平成23年12月2日に公布され、平成25年1月1日から施行されます。
このため、源泉徴収義務者の方は、平成25年1月1日から平成49年12月31日までの間に生ずる所得について源泉所得税を徴収する際、復興特別所得税を併せて徴収し、その合計額を国に納付していただくこととなります。
国税庁の内容では分かり難いので噛み砕いて解釈すると、東日本大震災の復興費用として国家資金が不足しているので、「復興特別所得税」と言う特別な税制度を2013年1月1日の収入分から適応します。
この税制度により、サラリーマンなど給与から所得税を自動で引かれている方は、今までの所得税に復興特別所得税をプラスして、この先25年間に渡り自動的に納税されます。
つまり、サラリーマンなどの給与所得の場合には、給与が振り込まれる前に自動的に引き落とされてしまっているので、特に意識せずに納める事になりますが、FXの利益に対する税金のように別途申告が必要な所得に対しては、所得税、住民税、と共に復興特別所得税分も納める必要があるので注意が必要になります。
上の図は、FXやCFDの税金をイメージ化したものです。
注意しておきたいのは、復興特別所得税は所得税額に対して2.1%の課税となりますので、FXの収入に対する所得税の割合である15%に2.1%を足した17.1%では無く、15%に2.1%を掛けた「0.315%」が復興特別所得税分となり、所得税15%・住民税5%・復興特別所得税0.315%の合計「20.315%」がFXの税金となります。
また、実際の税金はこの20.315分の税金対象分から必要経費を差し引いた額となりますので、例えば100万円のFXの利益に対して必要経費が10万円だった方の場合、90万円を納税する事になります。
FXの必要経費に関して、必要経費とはどのようなものか?、どのようなものが申告できるのか?について詳しくは、知らなきゃ損!FXの必要経費を参照してください。
給与など(分離課税対象以外の所得)の復興特別所得税
FXやCFDの所得(申告分離課税対象)と、給与などの所得(分離課税対象以外の所得)は完全に分けて計算をする必要がありますが、給与所得と復興特別所得税導入後の合計税率については以下のようになっています。
課税される所得金額 | 所得税率 | 所得税 + 復興特別所得税 |
控除額 |
---|---|---|---|
195万円以下 | 5% | 5.105% | 0円 |
195万円~330万円以下 | 10% | 10.21% | 97,500円 |
330万円~695万円以下 | 20% | 20.42% | 427,500円 |
695万円~900万円以下 | 23% | 23.483% | 636,000円 |
900万円~1,800万円以下 | 33% | 33.693% | 1,536,000円 |
1,800万円~ | 40% | 40.84% | 2,796,000円 |
年収500万円(額面)、FXの利益200万円
サラリーマンで2013年度の年収が500万円(額面)、またFXの利益は200万円ありましたが、この場合いくらの税金を支払う必要がありますか?
答え、46万8500円(個人差有り)
サラリーマンとしての所得計算の例
1.給与所得控除
500万円(給与の額面金額) - 154万円(給与所得控除)
= 346万円(給与所得控除後の金額)
2.所得控除
346万円 - (50万円(社会保険料控除、扶養控除などの合計) + 38万円(基礎控除))
= 258万円(課税される金額)
3.所得税額と復興特別所得税の計算
258万円 X 10%(税率) - 9万7500円(控除額)
= 16万500円(所得税)
16万500円(所得税) X 2.1%(復興特別所得税率)
= 3300円(復興特別所得税)
FXの利益に対する計算
(200万円(FXの利益) - 50万円(必要経費)) X 20.315%(FXの利益に対する税率)
= 30万4700円(所得税・住民税・復興特別所得税)
税金の総額
16万500円(給与所得税) + 3300円(復興特別所得税) + 30万4700円(所得税・住民税・復興特別所得税)
= 46万8500円(納税額:100円未満は切り捨て)
と、控除と必要経費など想定となりますが、この例だと総額700万円の収入に対して46万8500円を納税する必要があると言う事になります(※ 個人差が有りますのでご注意を)。
2012年から繰り越されているFXの税制度
FXの利益に係る税制度について2012年から引き続き適応されている制度が幾つかあります。
市場デリバティブ取引と損益通算が可能へ
2012年より、FXやCFDの損益通算が可能になりました詳しくは、市場デリバティブ取引と損益通算が可能へを参照してください。
また、損益通算が可能となもの、または不可能なものについては、FXの収入は雑所得を参照してください。
損失の繰越控除が3年間可能へ
2012年のFXの税制度の改正に伴い、FXで出した損失について3年間の繰り越しが可能となり、2013年にもこの制度は引き続き適応されます。
損失の繰越控除について詳しくは、損失の繰越控除が3年間可能へを参照してください。
また、ご自身がFXの確定申告が必要であるかどうかについては、私はFXの確定申告が必要ですか?を参照してください。
キーワードは『復興税』FXの税金2013年のまとめ
2013年から変わった内容のまとめです。震災復興税もFXの利益に対して課税されることになってしまいました。しかしながら、こればかりは避けられないです・・。FXは膨大な利益になるケースもあるので、この変化はとても大きいです・・。最後に今回の総括をご覧ください。
- FXの所得税についても「復興特別所得税」2.1%が適応される。
- 「復興特別所得税」はFXの利益から所得税分の2.1%。
- 申告分離課税方式で税率は2012年の「一律20%」から2013年の「20.315%」へと統一された。
- 市場デリバティブ取引と損益通算が可能(2012年から継続適応)。
- 損失の繰越控除が3年間可能。(2012年から継続適応)
- 損失繰越控除の適用を受けるためには、損失が発生した年についても確定申告を行う必要があり、その後の年にも申告する必要がある。(2012年から継続適応)