FX初心者へのマーケットの高速化の恐怖

FX初心者へのマーケットの高速化の恐怖

最終更新日: 2020年07月31日

現在のFXの世界は超高速の取引となっている事を知っておられるでしょうか?

私の幼い頃は、まだ「パーソナルコンピューター」が自宅にあると言う事が非常に珍しい時代でした。その頃のインターネットと言えばダイアルアップと言って、電話回線を使ったインターネットを起動するたびに「ピッピッピッ」と言う発信音の後に接続が完了すると言う、今の人からするとお粗末なシステムが使われておりました。

しかし、今では、そのインターネット回線についても。ADSLへて光回線となり家庭用のパソコンについても、当時から考えると信じられないような速度で演算を行い画面を切り替えたり、最新のコンテンツを即座に私達に届けてくれるようになっています。

このようなパソコン・インターネットの高速化により、FXは、初心者にとって一体どのような影響をもたらしているのでしょうか?

ここでは、その高速化していく取引環境によるFX初心者への影響について紹介してみたいと思います。

高速化による初心者トレーダーへの影響

世界中のコンピューターが繋がっている様子

実際、私を含めた個人投資家がパソコンを使っての通貨の取引をできるような時代である事が、ネットワークの大きな進歩によるものとなるのですが、今現在においても世界中のトレーダーはシステムを高速化させる事を考えている事をご存知でしょうか?

システムを高速化させる事によるFX投資のメリットは以下のような事が上げられます。

  • 他のトレーダーよりも素早い情報を知る事ができる
  • 取引に対する思考時間を増やす事ができる
  • 自動売買システムの判断への対応を俊敏にできる
  • 通貨価値の変動を更に正確に見る事ができる

取り上げた事例が、初心者や一般投資家にとっては縁遠い内容になってしまい、個人投資家レベルでは対応がとても難しい事になります。

そんな題材をなぜ「FX初心者が覚えておきたい事」と言う主題の元に取り上げたのかと言うと、それは今のFXとは一体どのようなレベルの話なのかを知っておいて欲しかったからです。

世界の投資家がどのようなレベルでの高速化による取引を行っているのか?これを知る事で、自分の取引に対する姿勢が変わる事にも繋がりますし、大相場と呼ばれる考えられないような値動きが起こっている時に、大きな判断材料として役に立つと考えたからです。

高速化による初心者トレーダーへの影響

さて、それでは、単刀直入「高速化による初心者トレーダーへの影響」について言いたいと思います。

「この取引の高速化は、FX初心者だけでは無く個人投資家全体にとって最悪の展開です」

このマーケットの高速化は一見して、個人投資家にとっても取引速度が上がった事で、取引しやすい環境が整い良くなったと考えられますが、実際にHF(ヘッジファンド)と呼ばれるような、為替や株の売買で巨額の富を動かす投資のプロ集団と個人投資家とでは雲泥の差があります。

実際にネットワークの高速化に伴い、例えば、相場を動かすような大きなニュースが起こった場合に、「HFや情報を買い取って取引をしている人達と一般投資家との情報検知までの差は数分までに縮まった」と言われています。その為、比較して以前より環境が良くなったと考える人もいらっしゃいます。

では、なぜ私が高速化に伴い環境が悪化したと考えているのか?2010年に起こった記憶にまだ新しい「フラッシュクラッシュ」を題材に取り上げて紹介していきたいと思います。

2010年5月6日フラッシュクラッシュとは

フラッシュクラッシュ(Flash crash)「瞬間暴落」とは、 2010年5月6日に起こりました。その当時はギリシャの不安定な情勢もあり、マーケットは緊迫した状態となっていました。そんな中で、わずか数分の間にダウの平均株価が一気に1000ドル近く下落しました。

もちろん市場は大パニックとなり、株価の下落は通貨の下落を誘発しリスクを回避する動きからドルや円が急速に買われ、数分の内に何円も下落する事態となりました。

当時のロイターでは以下ようなアナリストの見解が掲載されています。

フォレックス・ドット・コムの主任外為ストラテジスト、ブライアン・ドラン氏はユーロ急落について「市場は完全に売り一色となった」とし、「欧州のソブリン債懸念が発端となり、完全なパニック状態になった」と述べた。

フラッシュクラッシュ後のロイターの記事へ

当時の事を振り返ったあるアナリストは「地獄への門が開いたように思えるような相場だった」と後に語っているほどのパニック相場でした。

このフラッシュクラッシュが起こった原因は未だに解明されていないのですが、主に高速化した取引が1つの要因だとされています。

ただ、FX初心者にとって、今となっては過去のフラッシュクラッシュの要因には興味が無いことでしょう。それでは、フラッシュクラッシュ起こった要因についてはおいておいて、今度はフラッシュクラッシュが起こっている最中の株価について見てください。

2010年5月6日フラッシュクラッシュとは

上の画像は、フラッシュクラッシュについてのNHK(BS世界のドキュメンタリー)で放送された番組の画像ですが、相場が大きく上昇しているかと思うと、一気に下がっていると言う動きが見てとれます。(BS世界のドキュメンタリー<シリーズ 世界を翻弄するカネ> フラッシュ・クラッシュ~株取引 超高速化の落とし穴~より)

恐ろしい事に、株価が60ドルになったり1ドルになったりと、考えられない速度で値がついているのです。

更に恐ろしい事に、その値が1ドルから60ドルへと変わるまでに要する時間は、1秒の10分の1と言う人間では対応できないような速度なのです。ちなみに10分の1秒と言う時間は、人間の反応速度の限界と考えられています。

それはつまり、トップアスリートと同じ反応速度で取引が行われていた事を意味します。

また、1ドルから60ドルへと値が動いたと言う事は、1ドルで1万株買いを入れて、その0.1秒後に60ドルで売りさばいたのであれば、0.1秒間の間に10万ドルが60倍の60万ドルになった事を意味します。1ドル100円の単純計算とするのであれば、100万円が0.1秒後に6000万円になったと言うことです。

もちろん、その逆をやってしまったら6000万円が0.1秒後には100万円になったと言う事にもなります。

これが、高速化されているマーケットの世界です。今現在では、マーケットの値段を配信している会社までの距離によって、値段の配信を受けるための時間がコンマ数秒変わってくるので、そこに注目して取引を行っているプロトレーダーもいます。FXを始めたばかりの初心者が太刀打ちできるような世界では無い事が分かります。

それでは、どのようにして初心者が高速化しているFXの波に乗れば良いのでしょうか?

FX初心者が高速化の波に乗るために

FX初心者が高速化した相場の波に乗るために一番大切なこと。それは、ストップ(損切りポイント)を作る事です。

上で紹介した2010年のフラッシュクラッシュは日本時間の明朝に発生しています。つまり、日本人が寝静まった頃に発生しているのです。この当時、フラッシュクラッシュにより自殺者が出たとのニュースも出ています。

まずは、「自己資産の損失をできるだけ抑える」。全てはここから始まります。ストップを入れてストップが掛かってしまった後に相場が反転する事も有るでしょうし、その事でストレスが溜まる相場展開となるかも知れません。

ただ、ストップが掛かる事で助かった取引も同時に増えてくるようになると思います。1度フラッシュクラッシュのような相場に飲まれてしまって、やり直しが効かないような取引をするよりも、何度もやり直しながら技術を磨く事の方が将来を考えても有望ではないでしょうか?

最後に、この記事を読まれたFX初心者の方は既に大きな成長があったかも知れません。それは、フラッシュクラッシュのような異常相場がある事を覚えたのですから。

もしも、次にフラッシュクラッシュが起こった場合の決断速度は、何も知らない方の何10倍もの速さになりますから。

FX初心者へのマーケットの高速化の恐怖のまとめ

FX初心者へのマーケットの高速化していることについては、もう確実にノーストップで進化していると言わざるを得ません。そして最後に今回の総括も合わせてご覧ください。

FX初心者へのマーケットの高速化の恐怖のまとめ
  • フラッシュクラッシュ(Flash crash)と呼ばれる「瞬間暴落」がある
  • フラッシュクラッシュは0.1秒と言う速さ、価値が大きく上下する取引が行われいる
  • パニック相場への対応はストップを入れる事から始まる
  • パニック相場への対応は、「そのような相場がある」と言う事を事前に知る事で、対応・決断速度を向上させる事ができる