為替チャートの意味のある並べ方
最終更新日: 2020年08月06日
トレーダーの多くはパソコンの画面上に幾つかのチャートを表示していますが、FX初心者の中には、それを「チャートをただ並べいるだけだ」と思われている方もいらっしゃると思います。
実は、そのチャートの並べ方1つで感覚的に為替相場の状況を知る事ができます。そこで、トレーダー達が「どのようなチャートを並べているのか?」また「どう言う意図で並べているのか?」を紹介いきたいと思います。
「為替チャートの意味のある並べ方」の記事について、3つの構成と1つのまとめで紹介していきたいと思います。内容は以下の通りです。
同じ通貨ペア同士で時間軸を変える
最初の並べ方は、特に短期売買(スキャルピングトレード)をされているトレーダーによって良く使われるチャートの並べ方から紹介していきたいと思います。まずは下のチャートをご覧ください。
(チャート提供:マネーパートナーズ)
上の3つチャートは、全てドル円のチャートとなっており、左から1分足・10分足・1時間の順で並んでいます。
チャートには今回は分かりやすいように移動平均線(Moving Average)を入れていますが、FXテクニカル指標の有無や種類については自由に選択して頂いて結構です。
このように同じ通貨ペアを違う時間軸で並べる事でチャートの比較がとても簡単にできるようになりましたが、何処に注目してチャートを見れば良いのでしょうか?それは、為替レートの動き、つまりはローソク足です。
一番左の1分足のローソクは底値を付けて上昇を目指そうか?と言う形をしていますが、隣の10分足を見ると小さな下髭を作ろうとする流れの一部だと言う事が分かります。
さらに、その10分足の値動きを1時間足に置き換えて見ると、何とほとんど動きの無いレンジ相場の一場面に過ぎない事が分かります。
反対に、1時間足から1分足へと見ていくと、1時間ではレンジ相場に見えていてほとんど動きが無いように見えますが、10分足では少し下髭を作ろうとしている、更に1分足を見ると底値を付けて上昇しようとしているように見えます。
これは、何をしているのかと言うと、それぞれの時間軸には、その足をメインとして取引をしているトレーダーがいらっしゃいます。つまり、それぞれの時間軸で、現在の為替相場の市場状況がどのように映って見えているのかを確認しています。
これを意識的に繰り返していく内に、1つの時間軸のチャートを見ているだけで、自然に他の時間軸ではどのようなチャートになっているのか?イメージができるようになります。
トレーニングとしても使えるこのチャートの並びですが、特に短期売買を得意としている投資家(スキャルピングトレーダー)がこの様に時間軸ごとに並べたチャートを見ている最大の理由は、直近の値動きに集中したトレードをしているため、実際に自分が何処にいるのか見失わない為です。
小さな値動きばかり見ていると、少しの動きでも大きな動きをしたように錯覚してしまう事があります。そのため相場全体に常に気を配り大局を見失わないようにしているのです。
また、チャートの時間軸について、「一般的に長い時間軸を見た方が良い」と言われていますが、その理由については「FXのチャートは短期より長期間を見た方が良い理由」を参考にしてください。
クロス円・ドルストレートなど1つの通貨を軸とする
次は、クロス円やドルストレートなどのグループでチャートを並べて表示する事について紹介していきます。
クロス円・ドルストレートと少し表現が専門的になってしまったので説明すると、クロス円は「ユーロ/円」や「オーストラリアドル/円」と言った通貨ペアで「○○/円」で表記されるもので、ドルストレートとは「○○/米ドル」と表記される通貨ペアの事です。
上のチャートはクロス円のチャートを並べたものですが、左からドル円・ユーロ円・ポンド円のチャートが並んでいます。
こうやってクロス円だけ並べて何を見ているのかと言うと、クロス円のチャートを見ながらも、頭の中では円相場自体の通貨価値を見ているのです。
所謂「YEN(円) インデックス」と言われるものを想像して見ているのですが、例えば、上の3つの通貨ペアが揃って下降した場合には、円が買われていると言う相場状況が安易に想定できますし、反対に上昇した場合には円が売られている事が分かります。
更に、もし上の3通貨の動きがマチマチの場合には、円が率先した値動きの対象となっていない事も分かります。
特にFXを始めたばかりの初心者は、目の前に映っている情報だけに頼ってしまう傾向にありますが、そのチャートからイメージを膨らませる事も相場師にとっては大切な事です。
通貨ペアによってチャートを比較する事については「FX初心者がチャートを比較すべき訳」も参考にしてみてください。
1つの通貨ペアでドルと円の強さを見る
最後は、1つの通貨ペアを対象にして、アメリカドルと円の関係を見る方法です。まずは下のチャートをご覧ください。
上のチャートは、オーストラリアドル/円(左)とオーストラリアドル/米ドル(右)のチャートを並べたものです。上のチャートを見て分かるように、移動平均線のデッドクロスの早さから見て左のチャート、つまりオーストラリアドル/円の方が売られている事が分かります。
これは、間接的に「アメリカドルと円を比べた場合に円の方がアメリカドルよりも買われている」事を意味しています。
「そんなのドル円チャートを見れば良いじゃないか?」とお考えになられる、非常に感の鋭い方もいらっしゃると思いますが、この「円の方がアメリカドルよりも買われている」と言う事をドル円チャートから見て取ってはダメなのです。
例えば、「オーストラリアドル/円が上がっていき、オーストラリアドル/米ドルのチャートが下がっている状態」ではどの通貨が一番買われていて、どの通貨が一番売られているのか分かりますか?
この場合、「米ドル > オーストラリアドル > 円」の状態で強さの形が成り立ちます。では反対に「オーストラリアドル/円が下がっていき、オーストラリアドル/米ドルのチャートが上がっている状態」では、どの通貨が一番買われていて、どの通貨が一番売られていますか?
この場合は「円 > オーストラリアドル > 米ドル」です。つまり、1つ通貨を挟む事によってドル円の相場の強さを測っているのです。例えば、「オーストラリアドル > 円 > 米ドル」の順番に強さを示したのであれば、円と米ドルには大きな値動きは無い事が想定できます。
チャートは単に並べるだけでは無く、意味を考えながら並べて表示する事で咄嗟の判断に大きな違いが生まれます。1度現在のチャートの並べ方を考えてみては如何でしょう?
為替チャートの意味のある並べ方のまとめ
為替チャートの意味のある並べ方についてお話させて頂きましたが、興味深いお話は御座いましたでしょうか?正直、チャートの並べ方1つで、マーケットの見え方が全く変わってきてしまいます。是非、参考にしてくださいね!
- 時間軸に分けてチャートを並べる事でエントリータイミングを計る
- クロス円・ドルストを基準として通貨単体としての強さを測る
- 1通貨を挟むことで、通貨の強さに順番を持たせる
- 為替チャートの並び方には意味を持たせる
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