日本株が売られるとなぜ円高に?

 投資家ならば誰しもが「日経平均株価の上げ幅拡大を背景にした円売りドル買いも見られ・・」と言ったニュースを目にした事があるでしょう。

 しかしながら、特に初心者投資家は『なぜ日本株の変動が円に影響しているのか?』と言うマーケットの本質を知らないままにニュースを読まれている方が沢山いらっしゃいます。

 そこでここでは、そんな初心者トレーダーの疑問に答えると共に、「日本株の変動を知る事で、通貨の変動を知る方法」について紹介してみたいと思います。

日本株が売られるとなぜ円高に?イメージ

 「日本株が売られるとなぜ円高に?」は、以下の様に3つのトピックと1つのまとめから紹介しています。

日本株が売られたら円も売られるはず

 初心者トレーダーの方から良く受ける質問として、「『日経平均株価が下がった』と言う事は、日本株が売られたと言う事になるから、『日本の先行きにマーケット参加者が不安を感じている』事を意味し、日本の通貨である『円』も売られるはずじゃないですか?」と言うものがあります。

日本株が下落しているのに円が上昇しているイメージ

 このようなマーケットに対する考え方は、トレーダーだけで無く、一般の多くの方もマーケットに対して思っている事で、例えば英国や欧州それに豪州の通貨と株価の関係では、それに準ずる動きがしばしば散見されます。

 しかしながら、日本株と円の関係は特殊な状況になっており、「日経平均株価が下がると円も売られる」と言う他国の株と通貨ペアの関係をそのまま持ち込むと、酷いしっぺ返しに遭う危険性があります。

 一般的な常識や考えが通用しない日本の株そして円の動きについて、その両者は一体どのように連動しているのかを、実際のチャート(値動きを示したグラフ)で確認してみましょう。

日本株とドル円相場の連動性

 まずは、日経平均株価の過去4年間の推移から見て頂きたいと思います。

日経平均株価チャート(4年間) 日経平均株価4年間の推移チャート

 上のチャートを見て頂けると分かるように、通称アベノミクスと呼ばれる日銀の金融緩和を筆頭とした3本柱の経済改革を引き金に、東日本大震災後に最悪にまで下落した株価が急上昇している事が分かって頂けると思います。

 それでは続いて、円を代表する通貨ペアである「米ドル・日本円」のチャートを見て頂きたいと思います。

ドル円チャート(4年間) ドル円5年間の推移チャート

 上のドル円チャートは、先に紹介した日経平均株価と同時期のデータを切り抜いたものですが、2つのチャートが同じような動きをしている事が分かって頂けるかと思います。

 しかしながら、ここで気を付けて頂きたいのは、「ドル円のチャートが上昇している」と言う事は「円が売られた事」を示し、反対に「下降している」と言う事は「円が買われた事」を意味しています。

 鋭い方の中には既にお気づきになられた方もいらっしゃると思いますが、日本の株価と通貨の関係性は、上のチャートから考えると「相反する動きをしている」、つまり「株価が上昇すれば円が売られ、株価が下降すると円が買われる」と言う状況になっている事が分かって頂けたかと思います。

 さらに、先ほどの2つのチャートを1つのチャートに合体させてみると、どれほど日経平均株価と円の関連性が強いかが分かりやすくなると思います。

日経平均株価・ドル円チャート(4年間) 日経平均株価・ドル円4年間の推移チャート

 上のチャートは「緑が日経平均株価の推移」で「青がドル円の推移」を示しておりますが、「株価が上がれば円が売られる、反対に株価が下がれば円が買われる」と言う展開に対して確信して頂けたのでは無いでしょうか?

 しかしながら、ここで「どうして日本の株価と通貨だけが相反する動きをしているのか?」と疑問を持たれる方も沢山いらっしゃるのでは無いでしょうか?

 そうなんです。ここから紹介する内容が、今回の本題であり、トレーダーとしてマーケットの波を乗りこなして行く上で非常に重要な知識となってきます。

海外投資家参入による大きな影響

 まず、経済アナリストが、先に紹介したように日本の株と通貨が相反する動きについて、「一体どのように説明をしているのか?」を紹介してみたいと思います。

 ニュースや経済情報誌などでは、以下のような説明がされている事が多く見受けられます。

 日本株が上昇する際には投資家が円を売って日本株を購入し、日本株が下降する際には日本株を売って円にするため。

 上のような投げやりな解説を読まれた方も多いと思いますが、上のような解説を読んだところでFXマーケットには全く役に立ちません。

 そこで、補足して解説すると以下のようになります。

 「現在の日本の株式マーケットにおいて、外国人投資家による資金の本邦流入の割合が非常に大きく、その外国人投資家のほとんどが日本国外で生活をし、外貨を保有しています。そのため、外貨では日本株を購入する事ができず、投資の際には『日本円』が必要になる事から、自国通貨を売り日本円を買う事により日本株への投資をします。しかしながら、それだけでは株価の上下による影響に加え、為替変動により著しく円高・円安に進んだ場合のリスクまで考慮する必要が有るため、株式投資の際には日本円購入と同時に円売りを仕掛けておき、日本円を購入した分へのリスクをヘッジさせます。また、反対に株売却時には、ヘッジした通貨の円売りポジションが必要無いため、円売りポジションを解消し円買いへと移行させることになり、マーケット全体では株価が上昇時には円売り(円安)が進み、反対に下降時には円買い(円高)が進む事になります。」

世界の投資家が日本の株式を買っているイメージ

 先の説明では少し専門的な文面となってしまったので、もう少し噛み砕いて解説をすると、要するに外国人投資家が大金を日本株へ投資しており、投資の際には日本円への両替が必要になります。

 しかしながら、両替をしてしまうと為替差損が出る可能性があるので、日本円を取得する際にはFXで言うところの「両建て(売りと買いのポジションを同時に持つこと)」をしています。

 これにより、日本株を買う際には円売りオーダーが先物市場で入り、日本株を売る際には両建てを解消させるので円買い注文が入ると言う事です。

 こう言った株と円の関係に関する説明は、ニュースや雑誌のあちらこちらで見かける訳ですが、実は本質を付いたものでは無いと考えられます。

 と、言うのも結果的に株式投資を行う際に「為替差損を防ぐために両建て」に似た動きとなるのであれば、マーケット全体としては、「株を買う分の円買い」と「リスクヘッジのための円売り」がプラスマイナスゼロになり、日本株マーケットへの影響が円相場に与えるとは考えにくいからです。

 そこで、覚えておきたいのが「レバレッジをかけた取引」です。

 株式マーケットもFXマーケット同様に「レバレッジ」を使った取引が行われており、小額の資金にて大きな株の購入が可能になっています。

 レバレッジを使う取引には必ず「証拠金」と言う見せ金が必要になる訳ですが、この証拠金とレバレッジを使った取引の関係が大きく株と円相場に影響を与えているのです。

 例えば、日本株が下降する際、株が急降下すればするほど円に関しても急激に買いこまれ、急速な円高が進む状況が散見されています。

 これは、海外のレバレッジを使った日本株投資家達が、急降下していく保有する株価を見ながら、迫りくる証拠金の上限に不安を感じて、強制ロスカットを起こさないために証拠金積み増しのための円買いを起こすからです。

 反対に株式投資中に株価が上昇してくると、ポジションを刈り取られる心配は無くなり、株式投資のための証拠金は大きく必要無いため、証拠金のために円で保有していても低金利通貨代表である円では旨味は無いため、証拠金の一部を崩し円を売り払います。

 このような一連の海外株投資家の行動により、「日本株が上昇すると円安に、日本株が下降すると円高に」推移するようになります。

 最後に、これらのマーケット状況を知った上で、「これらの知識をどのようにトレードに利用するのか?」と言う事についてですが、察しの良い方は既にお気づきでしょう。

 そうです。日本株が急降下するシーンでは急速な円買いが膨らみますが、それは「海外日本株投資家が“一時的”に証拠金積み増しのために動いたから」なので、株が一度下げ止まると必要以上に証拠金を積みました円が不要になります。

 そこで、今度は余剰に積み上げた円での証拠金の為替差損を恐れて、円の売り込みを考えるので、今度は「急激な円安方向への動きになりやすい」と言う傾向が生まれます。

 このように日本株の急降下による円買い、日本株急降下後の下げ止まりでの急速な円売りは現在のマーケットにおいては、ほぼ鉄板とも言える流れとなっております。

 つまりは、株の流れを読む事でFX市場においても勝ちを掴む事ができるチャンスとなるのです。どうですか?日本株と日本円の関係性について、または、日本株の変動による戦略について御理解頂けたでしょうか?

 ※ 円主導のマーケットが起こったり、将来的に外国人投資家が著しく減少した場合には、こう言った現在におけるマーケットの流れは否定されるものへと変化してしまいます。外国人投資による日本株式の取引高については経済指標で発表されているので以下を参考にして頂けると、その時のマーケットの流れにも取り残されずに済みやすくなるかと思います。

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日本株が売られるとなぜ円高に?のまとめ

 これまでの「日本株が売られるとなぜ円高に?」のまとめです。

  • 日本だけ特別な株価と通貨の関係が有る
  • 日本株上昇⇒円安になりやすい
  • 日本株下降⇒円高になりやすい
  • 日本株に対する海外投資家の投資が円に影響を与えている
  • 株価下降による円の動きは、株価下げ止まりで反発が起きやすい

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