FX初心者のための脱インディケーター宣言!
最終更新日: 2020年08月02日
インディケーター(インジケーター:テクニカル指標)を使ったトレードを行っている投資家というのは非常に多く、「インディケーターには投資家を虜にする魅力がある」と言っても過言では無いほど、多くのトレーダーによって使われています。
しかし、「相場に関わっている8~9割のトレーダーが負けトレーダーである」という事実が裏付けているように、インディケーターには完全なものは無く、「インディケーターに頼るトレーダーもまた、その多くは負けトレーダーである」というのが現実です。
そんな多くの投資家に慕われ、多くの投資家を裏切るインディケーターですが、ここでは「FX初心者のための脱インディケーター宣言!」と題しまして、「インディケーターを捨てることで、トレード技術の向上や、初心者トレーダーからの脱出が可能である」ということを、私の「投資の苦悩体験」や「FX初心者からの抜け出した時のこと」などを交えて紹介してみたいと思います。
特に、「テクニカルトレードについて必死に勉強をされているのに一向に成果が上がらない」というトレーダーや「投資はテクニカルしか信用していない」という投資家の方々には、「違った空気を取り入れる」という感覚を持った上で参考にして頂ければと思います。
「FX初心者のための脱インディケーター宣言!」は以下のような構成でご紹介しております。お忙しい方は「まとめ」だけお読み頂ければと思います。
インディーケーターとトレーダーの恐怖
「お金はただの数字でしか無んだよ」。
これは、多くのトレーダーに知られている投資の格言とも言える名言だと思いますが、当時、「負ける怖さ」に怯え、恐怖を感じながらトレードをしていた私に対して友人が掛けてくれた「救いの言葉」でもあります。
今にして思えば、この言葉が無ければ今の私は無く、「もうFXなんて何年も前に止めてしまっているだろうな・・」と思えてしまうほど、私の人生に大きな影響を与えた言葉なのですが、実は、この「お金=数字」と言う考えが、私に負けトレーダーから抜け出すことができた切っ掛けを与え、言葉の持つ意味を超えて、初心者トレーダーからの飛躍を与えるものになりました。
◇マーケット・トレードに対する恐怖
トレーダーがトレードを怖がる理由、それは「お金を失うことになるかも知れないというプレッシャー」が大きな要因と言えますが、この恐怖という感情は相場師にとって「判断の遅れ」や「選択ミス」に繋がりやすい、正に“御法度(投資の負け要因)”とも言える感情となります。
しかしながら、多くのトレーダーはトレードを積み重ねていく中で知らず知らずの間に恐怖心を覚え、気が付けば負けの連鎖へと吸い込まれていってしまいます。
そこで、私はこのマーケットに対する恐怖、そして負けの連鎖から逃れるために、「何が原因でマーケットについて恐怖を感じてしまうのか?」という原因について考え始めました。
そこでたどり着いた答えと言うのが、「トレードを怖いと感じる環境を作ったのは外部要因では無く投資家本人(私自身)である」という考えです。
◇インディケーターが生み出すトレードへの恐怖
インディケーターは、「マーケットが付けた値(通貨価値)に対して、これまでの傾向や相場展開などを加えて、トレーダーに対し視覚的もしくは聴覚的に現在のマーケット状況をより分かりやすく伝えることができる非常に便利な相場状況把握ツール」ですが、そんな便利なインディケーターは、相場全体像を見渡すことなく“重要な情報”を瞬時に知ることができることを可能にし、1分1秒を争うようなマーケット状況においても抜群の効果を発揮します。
しかし、余り知られていないのが、この「瞬時に沢山の情報を投資家に伝える」と言うインディケーターの強力な情報伝達能力が持つ「強い副作用」についてです。
瞬間的に膨大な情報を伝えるインディケーターは、どうしても情報にノイズが混じりやすく、その「情報のノイズが投資家に圧倒的な無言のプレッシャー」を与えると言うデメリットがあります。
例えば、「今までRSIだけ使ってきたけど、バックテストの結果が良かったからMACDを追加したところ、急にトレード結果が悪くなった」というような経験はありませんか?これがインディケーターによる副作用の典型と言えます。
具体的には、RSIが逃していたマーケット情報をMACDが示すことにより投資情報を示すデータが増えた一方で、投資家が受け取る情報にはノイズが急増し、「ノイズが作り上げた空想の未来相場」が投資家に悪影響を与えたため成績が悪化したわけです。
「狼少年」ではありませんが、インディケーターから「この後で相場が暴落するかも?」と何度も何度もデータを出し続けられれば、だんだんと感覚は麻痺し始め、実際の暴落時には麻痺した感覚が命取りとなり大損を出してしまいます。
そして、信じるものを失った人間は、必ずそこに恐怖を感じ始めます。
もちろん、マーケットの恐怖にとらわれてしまったトレーダーがいくら取引を重ねても、生み出す結果が赤いことは言うまでも無く、皆様もご経験されているかと思います。
インディケーターが生み出す技術低下
次に、根本的なトレーディング技術面を考えてみると、不思議なことに多くの投資本やFX初心者の本では、インディーケーターの「機能説明」や「使い方の解説」、それに「使用上の注意」等については書かれてあれど、「インディケーターを使用することによるトレーディング技術の低下」については誰も触れていないことに気が付きます。
「インディケーターを使うことでトレーディング技術は落ちるの?」
これは多くの投資家にとって聞いたことも無ければ、考えたことも無いようなことだと思いますが、インディケーターを使うことにより「トレーダーの技術は低下する」もしくは「トレーディング技術向上を阻害する」と言うのは、非常に高い確率で答えは「YES」になります。
“インディケーター”を“電卓”に例えて考えてみましょう。
電卓は、“そろばん”ができない人でも「計算が早くなる」「正確な計算ができる」という便利な結果をもたらしましたが、一方で、「数字を計算する」という能力は電卓が行うため、人間は計算では無く「早く数値を入力する」という能力を伸ばすことへとシフトすることになりました。
つまりこれは、電卓の登場により「答えを導き出すために人間が必要な能力に対して変化が生まれた」ということを意味します。
インディケーターの場合、「これまでトレーダーは実際の値動きを見ながら相場状況を把握したり、マーケット全体を想像する能力を鍛えていたが、インディケーターの登場により投資家はマーケットそのものの見方では無く、インディケーターの見方を鍛えるようになった」という変化が生まれました。
そして、インディケーターの見方を鍛え、他を圧倒するまで能力を高められたトレーダーはテクニカルトレーダーとして大成を成し、残ったその他大勢のトレーダーは、それなりにインディケーターの使い方が分かるようになるものの、マーケットの本質を知らぬまま損を生み出し続けています。
インディケーターが示すものは、あくまでもマーケットの値動きから生まれた副産物であり、「相場が付けた数字に変化を加えただけの数字」でしかありません。
同じ数値の動きを読むのであれば、綺麗に透き通ったものを見ずに、どうしてノイズが混じった数値ばかりを見てしまうのでしょう?
電卓の普及により頭の中で計算をしなくなった状況から脱するには、マーケットそのものの値動きに注目し、その上で相場を分析する基本的な相場分析能力を鍛える必要があります。
基礎がしっかりしていない家の上に「重たい屋根」を乗せるとどうなるでしょう?本当に大切なものが何か?多くの方が見えてこられたはずです。
インディケーターを捨てるための覚悟
ここまで紹介してきた内容を読んで、インディケーターに対して過度に依存することについて、多少なりとも違和感を感じて頂けているのでは?と思います。
しかし、いざトレーダーとして、「自分のトレーディング技術向上のためインディケーターを捨てること」を決意した時、今度はFXの違った恐ろしさがトレーダーを襲い始めます。
それは、「今まで感じたことの無い“目”を失ったような恐怖」です。
「これまでに、恐怖を持っていればトレードに負けると散々書いておいて、結局、インディケーターを使わなくなっても恐怖を感じるのか?」と言う厳しいご指摘を受けそうですが、このインディケーターを捨てる時に感じる恐怖は、これまで説明してきたマーケットに対する恐怖とは大きく異なります。
例えるなら、インディケーターを使うことで受ける恐怖は、「森の中で、熊が出るかも?トラが出るかも?と頭の中で囁かれるような恐怖」で、インディケーターを捨てる恐怖は「森の中でコンパスや地図を失いどうすれば良いか分からない」、先に紹介している「信じるものを失ってしまった時の恐怖」と言った恐怖です。
しかし、自らインディケーターを捨てた場合、強制的に引き起こされる恐怖とは違い、基本的に「自ら引き起こした恐怖はコントロールできる」と言う強みを人間は持っています。次のように考えてみてください。
「今まで使っていたコンパスや地図は間違っている」
これまで従っていたインディケーターが示す売買指針に従ってきても勝てなかった訳ですから、結論は「そのデータ(インディケーターが示す売買方針)は間違っている」ということになります。
つまり、そんな壊れたコンパスや地図ならば、先入観の無い純粋な目線から物事を見定める上で「ノイズ」でしかなく、あることで得られていたのは「複雑なインディケーターを使っている」という必要の無い安心感と満足感だけです。
長年トレードを続け、それでも勝ち組に入れずFX初心者としての殻が破れていないのであれば、そろそろ次のステップへと足を掛けるタイミングが来ているのかも知れません。
インディケーターを捨てる覚悟ができたならば、今後は捨てたインディケーターをリサイクルしてみましょう。
インディケーターを頭の中で描くこと
それでは最後に、「FX初心者のための脱インディケーター宣言!」の本題へと入っていきたいと思いますが、インディケーターを捨てる覚悟ができたならば、今後は、純粋な値動きだけを見て、これまで見ていた「移動平均線」や「RSI」それに「MACD」などの動きを頭の中で作っていきます。
正直、この「頭の中でインディケーターの動きを再生する」という工程は、私のように一般的な能力しか持っていないような平凡なトレーダーの場合、1日や2日で出来るようなものでは無く、かなりの時間が必要になりますが、それまでにインディケーターを使い込んできた経験があればあるほど、容易に頭の中でインディケーターを動かすことができるようになります。
これが捨てたインディケーターのリサイクルなのですが、リサイクルが成功すると「今、RSIはこんな数値になっているんじゃないかな?」や「移動平均線のクロスが起きているんじゃないかな?」と言ったこれまで使ってきたインディケーターが値動きだけでイメージできるようになります。
「インディケーターのリサイクルができたら何か変わりますか?」
答えは「YES」です。
大きくマーケットの見方が変わり、たとえ想像したインディケーターの数値と実際の数値が違っていたとしても、それは大きな問題になりません。
それは、インディケーターの数値を読むことでは無く、マーケットに向かう上で本当に大切な、「相場の空気を読みながらトレードをする」ということを自然に行えるようになるからです。
ある日、マーケット状況を示すインディケーターが頭の中に浮かぶようになった時、インディケーターを見ながらトレードしていた自分の姿が頭に浮かびます。
その姿こそが間違ったトレードを行っている「初心者の思考、負けトレーダーの思考」そのものです。
後は、その姿を参考にして間違わないトレードを組み立てていけさえすれば、「FX初心者からの脱却」に繋がっていくことになります。
これは「FX初心者の投資方法を知った上で新しいトレードを組み立てている」ことを意味し、「“RSI 20%で即買い”をするような初心者トレード」は今後一切行わなくなるはずです。
数ヵ月後・・、インディケーターを捨てたあなたは、相場から受けるプレッシャーや恐怖が激減し、マーケットの悲鳴が聞こえるような中でもただ淡々とトレードを繰り返しているはずです。
そんなとき、ふと思うんです。「“あぁ、この感覚がお金は数字である”と言う感じ方に近いのかな?」と。
FX初心者のための脱インディケーター宣言!のまとめ
FX初心者のための脱インディケーター宣言!はいかがでしたでしょうか?正直、インディケーターを入れまくっている人のマーケット分析って、だましの山になってますよね!是非、こうした考えもあるんだ!と参考にして頂けたら嬉しいです。
- インディケーターが含むノイズがトレードの恐怖を生む
- インディケーターを頭の中で描くことで他のトレーダー心理を考えるようになる
- 自分が初心者トレードを行っている姿が見えればFX初心者脱出は近い
- マーケットの悲鳴を聞きながらも黙々とトレードをしている時、「お金を数字」に感じる時がある
- 殻を敗れないなら一度インディケーターを捨ててリサイクルしてみては?
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