ボラティリティ・インデックス(VIX)恐怖指数を使うFXトレード

ボラティリティ・インデックス(VIX)恐怖指数を使うFXトレード

最終更新日: 2020年08月02日

ここではボラティリティ・インデックス(VIX)、別名、恐怖指数と呼ばれる相場の恐怖度を示すと言われている指数を使って、どのようにしてFXを分析する際に利用すれば良いのか紹介しています。

市場参加者の恐怖度を表現していると言われている「ボラティリティ・インデックス(VIX)を使ったFXトレードの方法」について、以下のように3つの構成と1つのまとめからなっています。

ボラティリティ・インデックス(VIX)とは何か?

恐怖の指数をイメージする様子

ボラティリティ・インデックス(VIX)とは、別名で「恐怖指数」と呼ばれており、その名の通りボラティリティ(値幅)をインデックス(指数化)しているものです(Volatility IndeX)。

ボラティリティ・インデックス(以下VIX)は、シカゴのオプション取引所によって、アメリカの株価指数であるS&P500のオプション取引での値幅(ボラティリティ)を元に作成していおり、トレーダーの心理状態を示すデータとしても広く知られています。

ボラティリティ・インデックス(VIX)のチャートサンプル

(VIXチャート)

VIXは、主に10~20までの数値で推移をしている状態が日常の相場(普通の値動き)とされており、30を超えてくると投資家の心理状態は不安に満たされているとされており、40を超えてくるとパニック状態となっている事を示します。

特にVIXを「恐怖指数」と呼ぶ訳は、相場が暴落をし始める事で値幅が大きくなり必然的にVIXも上昇するためで、40を超えるようなVIXを示した際には「投売り」と呼ばれる、投資家は損失に耐えかねて「いくらでも良いから売ってしまえ!」と言った売り一辺倒の大相場を示します。

また、VIXが20~30を付けるような相場展開は、市場参加者の心理がドンドンと怖さが膨らんでいっている状態を示しているので、ひょんな事から相場が急展開を起こしやすい状況を示しているとも言えます。

過去の歴史的大相場で記録的VIXの数値

では、次に過去に記録的なVIXを示した相場について紹介しておきたいと思います。下はVIXの2005年からの2012年までのチャートとなっています。

2005年~2012年までのVIXの推移

過去の歴史的大相場においての記録的VIXの数値は以下のようなものです。

歴史的大相場でのVIX一覧
日付 出来事 VIX
1993年12月22日 史上最低数値の9.31を記録する 9.31
1997年10月30日 アジア通貨危機 38.20
1998年10月8日 ロシアデフォルト(ロシア通貨危機の流れLTCM破綻) 45.74
2001年9月20日 米同時多発テロ後の混乱(11~16日は株式市場が休場) 43.74
2002年8月5日 ワールドコム破綻(エンロン不正会計事件) 45.08
2003年3月 アメリカのイラク侵攻 34.69
2007年1月24日 2004年以降の最低値 9.89
2008年9月15日 リーマンブラザーズ破綻 31.70
2008年9月16日 AIG国有化 30.30
2008年9月29日 米下院で金融安定化法案が否決 46.72
2008年10月16日 前日にダウ733ドル安(リーマンショック過去最高値を記録) 81.17
2008年10月24日 20~24日でダウ886ドル安、VIXは史上最高値89.53を記録 79.13
2008年11月20日 先週末よりダウ945ドル安、終値ベース史上最高値80.86 80.86
2010年5月7日 前日にP&G誤発注、ダウが史上最大の暴落998ドル安を記録 40.95
2010年5月20日 ギリシャ(PIGS)の国債懸念、19日ドイツ空売り規制導入など 45.79
2011年8月8日 6日のS&Pが米国債を格下げを受けダウ634ドル安 48.00
2011年10月4日 ギリシャ国債のデフォルト危機が起きる 45.45

このように、歴史的に大きなニュースとVIXを照らし合わせてみると、リーマンショックがなぜ100年に1度のショックと呼ばれる訳が分かります。

VIXをFX相場の状況判断として利用する

では、最後に今回の本題でもあるVIXをFX相場で活用する方法を紹介していきたいと思います。まずは下のチャートをご覧ください。

オーストラリアドル円の月足チャート

(チャート提供:マネーパートナーズ)

上はオーストラリアドル/円の月足チャートですが、2008年に先に紹介したリーマンショックを受けて40円以上の大暴落をしている事が分かります。

では次にこのオーストラリアドル円の動きに対してVIXと比較すると、どのようになるのか下のチャートでご覧ください。

VIXの推移とオーストラリアドル円の推移を比較したもの

(青:オーストラリアドル/円 緑:VIX))

こうして比較してみるとVIXが上昇しているとオーストラリアドル/円は下降し、反対にVIXが下降するとオーストラリアドル/円は上昇している事が分かります。特に、オーストラリアドルは株価に反応を見せやすい特徴を持っているため、その動きが顕著に出ています。(オーストラリアドルを含め通貨ペアごとの特徴については「FX初心者が知っておくべき通貨の特徴」を参考にしてください。)

また、上のチャートを良く見ていくと面白い傾向を見てとる事ができます。それはVIXが最大値を付けて、しばらくした後にオーストラリアドルが底値打ちをしている点がいくつか見られる点です。

このような現象が起こっている理由として、実は、株価が最安値を付けるのがVIXが最大値を付けた後で、しばらくの時間が経過してから付ける事が散見されているため、それと連動してオーストラリアドルもVIXの最大値を付けてから遅れて最安値を付ける傾向が見られています。

つまりは、VIXが極限まで高まった時と言うのは、オーストラリアドルの買い時では無い可能性が考えられます。しかし、フラッシュクラッシュと呼ばれている「ギリシャショック(誤発注事件)」は例外となっています。

また、このVIXの推移は、為替相場のリスクオンとリスクオフとの関係も顕著となっているので、特に資源国通貨での外貨預金やスワップ取引をされている方にとってVIXの数値の推移を大切にした取引を行う事で相場状況の判断がしやすくなります。(リスクオン・オフについてやスワップ運用については「FX初心者のためのリスクオン・リスクオフの違い」や「FX初心者のリスク軽減を考えたスワップ運用」を参考にしてください)

最新のVIXの推移については英語サイトとなりますが「Yahoo Finance VIX」で掲載されています。

ボラティリティ・インデックス(VIX)恐怖指数を使うFXトレードのまとめ

ボラティリティ・インデックス(VIX)恐怖指数を使うトレードって興味深く聞いて頂けた方もいらっしゃったのでは無いでしょうか?最近、FXニュースでも時々ですが取り上げられるようになってきたので、マーケットへの影響力が増してくることも意識しておいてくださいね!

ボラティリティ・インデックス(VIX)恐怖指数を使うFXトレードのまとめ
  • VIXはS&P500の値幅に基づき算出されている
  • VIXは投資家の心理を知る手掛かりとなる
  • 特にVIXは資源国通貨の取引に有効
  • VIXが最高値を付けて後、しばらくしてから通貨の最安値が来る
  • スワップトレーダーや外貨預金の際にVIXを使うのも手