スワップ金利とは?
最終更新日: 2020年08月10日
「スワップ(swap)」とは、元々「交換する」と言う意味が有ります。
「スワップ」=「スワップ金利」=「スワップポイント」と言う風に考え、どちらも同じ意味だと間違えて覚えている方が多い言葉ですが、実際は違う意味を表します。
少し紛らわしい言葉ですが、多くのサイトでも間違った表現を使い表記されている事も多い事から、「スワップ金利」と「スワップポイント」を同じ言葉として扱われがちです。
一般的にFXトレーダーによって「スワップ」と言われて短縮形のようにして扱われているのは「スワップ金利」の事ではなく「スワップポイント」の事を指しています。
FX初心者の方は、「スワップ金利」と「スワップポイント」の意味を混合せずに覚えていく必要が有ります。「スワップ」と聞いても、「スワップ金利」と言う意味では無いと言う認識が必要です。
スワップポイントと違うスワップ金利
スワップ金利とは、スワップポイントと違い、固定金利と変動金利を変えたレートまたはその逆の事を指します。
例えば、ある事業者が固定金利で「A」と言う銀行からお金を借り入れたとします。
その際、事業者は将来の金利変動に影響される事無く、一定した金利での支払い、つまり固定された金利での利払いをできると言う利点が有ります。
しかし、固定金利にてお金を借り入れた後に、変動金利が徐々に下がっていき「この先も変動金利は徐々に下がっていくだろう」と言う見通しとなりました。
そこで、事業主は「固定金利での利払いよりも、変動金利での利払いを行った方が安く済むのでは?」と考えます。
そこで、「B」と言う銀行に、「固定金利と変動金利を交換する取引」を行います。
これを金利スワップ取引と言います。
事業者は、金利スワップ取引を行った事により、「B銀行」に変動金利の利息分を支払い、「B銀行」は「A銀行」に対して、事業者が支払うはずであった固定金利の利息分を支払います。
このようにして、固定金利を変動金利へとスワップ(交換)すること、または逆に変動金利を固定金利へとスワップすることを「スワップ金利」と言います。
特に1年を越すスワップ金利は国際金融機関(Supra)や政府保証債、事業債などの新規発行時に用いられ、その年限のスワップ金利 + ○○ bp over(ベースポイントオーバー)で発行されます。
FX(外国為替証拠金取引)取引において、良く耳にする「スワップポイント」とは意味が全く違うので注意が必要です。
スワップ金利の利点
スワップ金利の利点としては、お金を借りている債務者側(事業者側)と、変動金利と固定金利を変更する銀行側とどちらにも利ある取引だと言えます。
上の例で引き続き説明をすると、事業者は「A銀行」から固定金利でお金を借り入れ、変動金利が下がっていく状況の中、「変動金利での利払いの方が得だ」と考え「B銀行」を通じて固定金利から変動金利へと変更します。
事業者側は、変動金利が落ちる事により、固定金利で支払う予定だった利払いよりも、少ない利払いで済みます。
「B銀行」は、事業者との金利スワップ取引の際に、事業者から手数料を受け取ります。
つまり、事業者からの手数料を受け取る事で取引のリスクに対する担保を受け取っているため、一般の取引よりもリスクが小さい取引を行う事ができます。
スワップ金利の欠点
上の利点で紹介した例は、事業者が固定金利を変動金利へと変更した後に、変動金利が下がった事により利払いの金額が減りましたが、逆に変動金利が上昇すれば、固定金利での利払い以上に変動金利での利払いを行うことになります。
また、金利スワップ取引を行った「B銀行」についても、手数料を得る事で優位な取引を行っていますが、債務者である事業者が倒産し強制的な取引終了などのリスクが有ります。
金利スワップ取引が円滑に進むためには、債務者の経営状態が重要になります。
債務者側が必要な先見
欠点で紹介したように、金利スワップ取引を行う事業者は金利の変動を広い視点から見極める能力が必要になります。
金利は世界情勢やニュースなどの影響を受けながら変動しています。
そのため、一時的に変動した金利に惑わされて取引を行うのではなく、中長期目線での金利変動を考察しなければいけません。