一目均衡表(Ichimoku Kinko Hyo) | トレンド系テクニカル指標

一目均衡表(Ichimoku Kinko Hyo)

最終更新日: 2020年08月11日

一目均衡表は一目山人(いちもくさんじん)により1969年(昭和44年)に発行された「一目均衡表(第一巻)」が始まりとなります。一目均衡表は著者である一目山人の名を取り名付けられており、彼の著書によりその作図方法や相場分析の方法などが記されています。

現在では、ローソク足と並び世界中の投資家から日本の優秀な相場分析の方法として知られるようになっており、「Ichimoku」と呼ばれて使用されています。

一目均衡表が世界のトレーダーに広まった理由として、現在の相場状況を分析する事が多いテクニカル指標の中で、一目均衡表は現在の相場状況のみならず未来の相場状況についてもチャート上に表示すると言う特徴があります。

また、一目均衡表を使った相場分析の方法について、初心者でも簡単に分かる単純な見方から、一朝一夕では習得する事ができない深い見方までをカバーしているため、特に一目均衡表を使用した複雑な相場分析を得意としているトレーダーについて「一目使い」と呼ばれ他のトレーダーから高い評価を受ける傾向にあります。

◇一目均衡表(Ichimoku Kinko Hyo)の計算式

転換線 = (当日を含む過去 9日間の高値 + 安値) ÷ 2
 基準線 = (当日を含む過去26日間の高値 + 安値) ÷ 2
 先行スパン1 = (転換線 + 基準線) ÷ 2
 先行スパン2 = (過去52日間の高値 + 安値) ÷ 2

◇一目均衡表(Ichimoku Kinko Hyo)の主な設定期間

一目均衡表の基本設定値は、転換線9・基準線26・先行スパン52の[9・26・52]の設定を使う事が最も一般的な設定となっています。

しかし、トレーダーの中には1週間の内で実際にローソクを形成するのは5日となる事から転換線の値に[5]を設定している方や、フィボナッチ数を利用した[13・21・55]と言う期間設定を使用している人もいます。

また、一目均衡表の基本設定値については、RCIの基本設定である[9・26・52]と同じ期間を採用している点についても興味深い設定値となっています。

他には基準値である26先行スパンの設定値である52は移動平均線においても良く用いられる期間となります。

一目均衡表について内容は以下の通りです。

一目均衡表で使われる基本用語

始めに、一目均衡表を使用するに当たり、一目均衡表で使われる特別な用語の説明から始めていきたいと思います。まずは下の一目均衡表を表示したチャートをご覧ください。

一目均衡表に基本用語が記入されたチャート

(チャート提供:マネーパートナーズ)

上のチャートには、左から転換線・基準線・遅行線・雲・先行スパン1・先行スパン2と有りますが、これが一目均衡表で使われる特別な言葉となります。

転換線は赤いラインで表示されてあり、青い基準線と比較して相場に対して敏感な動きをします。また、緑色で表示されている遅行線については転換線や基準線と違い現在の相場よりも過去の位置に表示されるのが特徴で遅れて付いてくると言う特徴があります。

雲については、2つの先行スパンにより挟まれた間の事を意味しており、現在の相場よりも未来のチャートにまで表示されると言う特徴があります。

トレンド判断の基準となる転換線と基準線

一目均衡表の転換線と基準線はトレンドを分析する際に用いられます。使われ方は移動平均線と同じなので「移動平均線について」も一緒に参考にして頂ければと思います。

一目均衡表の転換線と基準線にゴールデンクロス・デッドクロス・だましがあるチャート

先に計算式で示したように、転換線は基準線に比べて短い期間での高値と安値の中央値であるため、直近の相場に対して「転換線は基準線よりも敏感に反応をする」と言う特徴が有ります。

そのため、移動平均線と同じように転換線が基準線を下から上へと貫ける「ゴールデンクロス」や、反対に転換線が基準線を上から下に貫ける「デッドクロス」が発生します。

ゴールデンクロスやデッドクロスは移動平均線と同じように、ゴールデンクロスは相場が上昇トレンドへと転換するサイン、デッドクロスは反対に相場が下降トレンドへと転換するサインとなります。上のチャートでは、左上の黄色○がデッドクロス・右下の黄色○がゴールデンクロスを示しています。

また、ゴールデンクロスやデッドクロスが起こったにも関わらず相場が反転しない「だまし」と呼ばれる現象も移動平均線同様に存在しており、上のチャートの緑色○がその例となります。

転換線と基準線が支える上昇トレンドと押さえる下降トレンド

移動平均線と同じ様に、転換線についてもローソク足が転換線よりも上で推移している場合、「買い気配」が強い強気相場を示すシグナルで、反対に転換線よりも下でローソクが推移している相場展開は「売り気配」が弱気相場をシグナルとされています。

転換線が価格を支える、または抑えている様子

上のチャートで赤で囲んだ箇所は、転換線よりも上で価格が推移している強気相場となっていて、黄色で囲んだ箇所は反対に転換線よりも下で価格が推移している弱き相場になっている事が分かります。

また、転換線と基準線は抵抗となる事が多く、例えば、転換線と基準線の上で推移していたローソクが転換線が安値を支えるかのようにしながら上昇相場を作っていったり、逆に転換線と基準線よりも下で推移していたローソクが転換線で高値を抑えらながら下降トレンドを作ったりする事も数多く見られます。

転換線・基準線が価格を支える、または抑えている箇所を記したもの

上の黄色○はローソクが転換線と基準線に対してサポートやレジスタンスとして抵抗になったと考えられる箇所を囲んだものです。こうやって見てみると転換線と基準線が如何に相場にとって重要なラインとなっているか理解できると思います。

2つの先行スパンで形成された雲の使い方

次に雲の使い方の説明をします。、先行スパン1と先行スパン2によって挟まれた雲は未来のチャートにも描写されると言う、数あるテクニカル指標の中でも珍しいものですが、実は同じ雲でも2種類の雲が一目均衡表には存在しています。

一目均衡表に上昇雲・下降雲を追記したもの

上のチャートのように、先行スパン1が先行スパン2よりも上で推移する事により作られている雲の事を上昇の雲(Up Kumo)、反対に先行スパン1が先行スパン2よりも下で推移する事により作られる雲の事を下降の雲(Down Kumo)と呼びます。

また、先行スパン1が先行スパン2をクロスする事により雲は上昇の雲や下降の雲と変わっていきますが、そのクロスした場所の事を雲のねじれと呼びます。

雲のねじれの部分を追記したもの

上のチャートで示したような「雲のねじれ」は、主に相場が不安定になったり変化が起きることを示すサインだと考えられています。

また、一旦ローソク足が雲の中に入ってしまうと、なかなかローソク足は雲の外には出られずに雲の中で推移しやすいと言う特徴があります。

雲を抜ける事と雲の中に残るローソク

しかし、上のチャートのように雲からローソク足が出ると相場が一気に動き出す傾向が見られます。この減少も先の転換線や基準線のゴールデンクロスやデッドクロスと同じように、ローソク足が下から上に雲を貫いたら相場が上昇するサインとなり、反対にローソク足が雲を上から下に貫いたら相場が下降するサインとなります。

特に、薄い雲と言うのは分厚い雲に比べてローソクが上抜け・下抜けしやすくなりますが、上抜け・下抜けした雲が分厚ければ分厚いほど、それを抜けた時の力が大きいと考えられており、「放れ」と呼ばれる大きな上昇や下降相場の前兆を示すシグナルだと言われています。

上昇の雲と下降の雲によるローソクへのサポート

雲はローソクが1度中に入ってしまえば、雲の内での値動きが推移する傾向を見せるがあったり、抜けてしまえば相場が大きく上昇や下降を見せる特徴がありますが、雲を形成する先行スパン1と先行スパン2も相場に対しての抵抗体だと考えられています。

上昇の雲によるローソク足の安値の支え

上のチャートのように、特に先行スパン1が先行スパン2よりも上で推移している上昇の雲の場合には、上昇するローソクの安値を下からサポートするような役割をして、反対に先行スパン1が先行スパン2よりも下で推移している下降の雲の場合には、下降するローソクの高値を上から押さえつけるような動きを見せる傾向があります。

そのため、上昇の雲は上昇トレンド時の絶好の押し目買いポイント、または、下降の雲は下降トレンド時においての絶好の押し目売りポイントとしての売買ポイントを示しています。

相場の転換を示す遅行線

遅行線は、「現在の相場よりも過去のチャートに表示されるにも関わらず未来の相場についてのシグナルとなる」と言う大変ユニークなテクニカル指標ですが、遅行線についても他のサイン同様に「ゴールデンクロス」や「デッドクロス」が売買のサインとして考えられています。

その遅行線とゴールデンクロスやデッドクロスの対象となるのは、ローソク足つまり価格で、遅行線がローソク足を下から上に抜けると相場上昇のサインとなり、反対に遅行線がローソク足を上から下に抜けると相場が下降するサインとなります。

遅行線がローソクを抜けて上昇下降を示したチャート

上のチャートの黄色○で示した箇所は、遅行線が価格を上から下に抜いている事からデッドクロスが完成し、相場が下降している事が分かります。

また、赤色の○で示したように遅行線がローソク足と完全にクロスをする事ができず、「だまし」となるパターンも存在します。

遅行線がローソク足を上抜けし買いのサインとなった瞬間

上のチャートは、遅行線が過去のローソク足を上抜けしてゴールデンクロスを示し、現在の相場がこれから上昇する事を示すサインが出た瞬間です。

過去の転換線・基準線・雲が遅行線の抵抗体となる

最後に、転換線・基準線・雲が遅行線に対しての抵抗となる事を紹介します。遅行線は過去のチャートに表示されるにも関わらず、過去の転換線・基準線・雲は、その抵抗となる事が散見されます。

転換線・基準線・雲が遅行線に対して抵抗体となっているチャート

上のチャートの黄色で囲んだ箇所を見て頂けると分かると思いますが、左から基準線が遅行線の抵抗体となっている様子、転換線が遅行線の抵抗となっている様子、雲が遅行線の抵抗となっている様子が見てとれると思います。

このように、ローソクが転換線・基準線・雲を抜けてしまい一見して抵抗が無くなってしまったように見える相場展開でも、後から遅れてついてきている遅行線が現在の相場に対して抵抗の存在を示す事もあります。

一目均衡表(Ichimoku Kinko Hyo) | トレンド系テクニカル指標のまとめ

  • 一目均衡表は現在世界で使用されている相場分析方法
  • 一目均衡表は過去から未来の相場全ての状態から相場分析を行う必要がある
  • サインの多くはゴールデンクロス・デッドクロスとなっているため移動平均線と似た部分が多い
  • 遅れて付いてくる遅行線や未来を表示している雲にも注意が必要