5000万円の損失!FXでどん底から復活した社長夫人
記事公開日: 2015年01月01日
最終更新日: 2020年07月31日
長い間この為替相場の業界で取引を行っておりますと、「個人投資家」と呼ばれる様々なジャンルの方とお会いする機会があるのですが、その中でも「5000万円超!?となる膨大な損失地獄」から脱出し、今では見事に大幅プラスにまで復活した社長夫人のお話をご紹介してみたいと思います。
投資に関する失敗談や成功談は読んでいて楽しいだけで無く「トレードの参考」になることが多々ありますので、そういった自分のトレードに活かすことも意識しながら読んで頂けると幸いです。
損失が5000万円を超えるまで
ここでご紹介している社長夫人のお話は、全て夫人の旦那さんである“社長本人”から伺ったものなのですが、余り細かい表現を使ってしまうと社長に怒られてしまいますので(笑)、“ふんわりとした表現”を使うことをご了承ください。
まず、「どのようにして損失が5000万円まで膨らんだのか?」と言うお話になるのですが、実は、この損失の全てはFXで作ったものでは無く、他の投資により生まれた確定損失となります。
そもそも私の友人でもある社長は、従業員10名程度の小規模な食品加工工場の2代目社長なのですが、普通にクルーザーやヨットなどを所有しているようなワンステージ上の生活をされているような方です。
そのため5000万円程度の確定損失が出たとしても、私のような一般生活をする分には一切困らないレベルのお金持ちなのですが、問題は「社長夫人である奥さんが、社長である旦那には内緒で5000万円の投資損害を出していた」と言う点にあります。
社長は「いや~。本当に時々パソコンの前でカリカリしていたことも有ったんだよ(笑)。あの時はリーマンショックとか、スーパーの合併とかが有ったから、それが原因だと思っていたんだけどね(笑)。それがまさか家計から5000万円も出ていた何て怖いでしょ(笑)。」とおっしゃられてましたが、普通の家庭でこれが起これば「離婚レベルの話」ですので私は思わず苦笑いです(笑)。
夫人は、元々夫人の父親が某証券会社のトレーダー(今は潰れて無い会社です)として勤務していたこともあり、親戚の多くが株やら社債、それに国債などの取引をしているそうで、幼い頃から投資が身近にあったとのことでした。
そして夫である社長が会社を経営していることもあり、日ごろから何かと銀行に訪れる機会が多かったのですが、そこで行員から投資の話を持ちかけられ、夫に相談も無いままに500万円から投資信託を始めてしまったそうです。
もちろん夫人は、特にマーケットに特別精通しているわけでも無かったのですが、500万円も夫に内緒のまま投資につぎ込んでしまったこともあり、少しマーケットについて勉強をするようになったそうです。
そして、毎日少しずつ投資の勉強をしながら、少しの利益が出ては少し損失が出ると言う状況を繰り返していたそうなのですが、あのリーマンブラザーズが破綻、世界同時株安が発生したことにより事態が急変します。
世界恐慌以来の恐ろしい相場状況に、みるみる損失が広がっていく中で追加資金が追加資金を呼び、気が付いたら損失が4500万円程度まで出たそうです(正直、いくらまで投資資産を出していたのか気になりましたが、社長に聞くタイミングも無かったので聞いておりません)。
「あれ?5000万円超の損失だったんじゃないの?」と思われた方、実は、社長も最近になって知ったそうなのですが、一時、毎日のようにTVニュースでも取り上げられていた『和牛預託商法』なる詐欺商法にも500万円以上の投資をしていたそうです。
※ 和牛預託商法:
和牛預託商法(わぎゅうよたくしょうほう)は、和牛の飼育・繁殖事業に出資を募った上で、出資金を配当に回す自転車操業を行ったり、約束した配当を行わないという詐欺商法の一つで、現物まがい商法の一種である。
- wikipedia -
さて、この総額5000万円の損失、この時点で社長は何も知らないところで起こっている訳ですが、どのようにして社長夫人である奥さんはこの大問題を解決していったのでしょう。
損失がどんどん膨らんだ理由
続いて、「なぜ夫人は夫に内緒でそこまで損失を膨らませてしまったのか?」と言う根本的な理由について考えてみたいと思います。
私は、夫人とは1度しかお会いしたことは無いのですが、まず夫人が損失を膨らませた最大の要因として考えられるのが「夫人の負けん気の強さ」です。
夫人、夫人と書いていると、つい“デヴィ夫人”を思い出してしまいそうになるのですが、夫人はまだ40代前半ですので容姿は違いますが、“負けん気”は本当に凄く、「この性格が問題となって損失を膨らませたのだな・・」と容易に想像できるほど負けることを嫌う方でした。
つまりは、「負けず嫌いな性格が邪魔をして、損失確定による負けを認めることが我慢できずに追い金を続けた」と言うのが敗因のようでした。
いわゆる“塩漬け”と呼ばれる状態にまで悪化したポジションを「切らずに損失だけが拡大していった」と言う流れですが、こうした状況になるのはFXをされていらっしゃる方にも沢山いらっしゃいますよね!?
次に損失が膨らんだ要因としては、「5000万円まで損失が膨らんでもバレナイ!」と言うほどの資産が有ったことが大きなポイントとなるのですが、普通に考えて5000万の損失が出ると言うことは投資金が損失の倍であったとしても1億円になります。
FXトレーダーの中には「1億円有ったら投資で負ける訳ないだろう!?」と言う方もチラホラいらっしゃいますが、こうした投資額まで到達するのには訳があり、「コツコツ悪循環を積み上げた結果」と言うことを理解すると負けのセオリーが見えてきます。
こう言ったケースでは、最初から「1億円の投資範囲で、その先は追い金を一切行わない」と言う覚悟が有って始めた投資では無いので、500万円や1000万円と言う資金をドンドンと積み上げていきやすい心理状態になります。
例えばこれは、FXで言う「証拠金維持率が100%近くて強制ロスカット前だから、追い金でここは耐えよう」と言うアイデアと全く同じな訳ですが、一度でも追い金でポジションを助けようとしたことがある人は、次も追い金でポジションを助けようとしてしまいます。
そして、下手をすると無限追い金地獄にはまってしまいます。如何にその場しのぎの投資が危険なのか分かりますよね。
社長夫人の大逆転、その転機はFXにあり
さて、いよいよ夫人の逆転劇が始まる訳ですが、あのリーマンショックの大不景気の中で「夫人の投資資産に4500万円損失を出した銀行員が支店長に昇進した」と言うことから快進撃が始まります。
社長曰く「あいつは俺の金で支店長になりやがった(笑)あの若さで普通支店長は無いよ」とのことですが(笑)、いつも家まで来ていた銀行の営業マンが出世して変わったことにより、夫人が「自分で売買をやってみたい」と思うようになったそうです。
そこで、始めたのがFXでした。
その頃のドル円相場は80円前後で推移しており、当時のトレーダーにとっては「これは50円まで落ちるんじゃないか?」と言われるような超デフレ状況に、東日本大震災での株安なども加わり、日本だけで無く世界のマーケットは大変なことになっていました。
そんな状況下で、夫人は全く躊躇すること無く大量のドル買いオーダーを出していたそうです(笑)。
夫人の投資は基本的には「超が付くほどの順張りトレード」で、マーケットが完全に反転を見せたところの伸びきる手前で投資をして、最後の伸びを細かく拾うと言うものです(今では社長からいつも相談を受けておりますのでポジション取りを熟知しております(笑))。
※ マーケット用語参照: 順張りとは?
そんな夫人のトレードとしては考えられないような逆張りトレード手法になるのですが、これが安倍首相のアベノミクスで見事に当たり、何とたった数カ月で5000万円を軽く超えるような利益が出てしまったそうです。
そしてその後は、夫である社長に5000万円の損失から見事復活をしたことを告げ、今後は「トレードは許可するが売買を行ったら常に報告する」と言うことで話はついたとのことですが、最近では、また新しく担当になった銀行員と一緒に相談して投資対象を決めているようで(笑)、「ブラジル国債・米REIT・トルコリラ」など、様々な投資対象に次々と手を出しており、社長から私へと相談が入ってくる流れができています(笑)。
今のところは数千万円ほど儲かっている話を聞いていますが、いやはや本当に大逆転とはこのことですよね・・。
ここで重要なのは、夫人は投資金額が億トレーダー並みに大きいですが、その費用が「余剰資金での投資(命銭では無い)」だったことから、損失が大きくとも取り返すことができるチャンスをマーケットが与えてくれました。
どのようなトレードをするにせよ、投資費用をいくらに設定するにせよ、この事だけは心に留めておいて頂ければと思います。
そして最後に、「なぜ、夫人は勝ったFXをそのまま続けて稼ごうとしないのか?」、社長曰く「お金に興味があるようで、無いんだよね・・」。
なるほど。「夫人が成功をしている理由」について何となく分かりますよね・・。
5000万円の損失!FXでどん底から復活した社長夫人のまとめ
5000万円の損失!FXでどん底から復活した社長夫人のお話を最後までご覧頂きまして、ありがとうございます。本当にトレーダーって色々な方々がいらっしゃいます。それでは、最後に今回の総括をご覧ください。
- マーケットに生き残れば挽回のチャンスはある
- 負けん気の強さから思わぬ損失の原因に
- 負けん気の強さが挽回のきっかけを与えることもある
- 投資は余剰資金ですることが大切