レンジ分析の基礎

最終更新日: 2020年08月16日

FXで良く聞くことのある「レンジ」と言う、一定の値幅間で相場の売り買いが均衡して値動きが少なくなる状態が有りますが、このレンジを実際にチャートを「テクニカル分析」し見つけ出す方法を紹介していきたいと思います。

レンジを分析する事で、テクニカル分析の技術は大幅に向上し、無駄な取引を一気に減らす事ができたり、しっかりとした損切りを行うための理由も見つける事が可能になります。

具体的には、レンジの基礎であるラインによるレンジ分析の基礎と、レンジブレイクと「だまし」についてとなりますが、FX初心者の方用にゆっくりと紹介していきたいと思います。

難易度については初級偏までとなりますが、テクニカル分析を行って取引を行うのであれば非常に大事な内容となります。

トレンド分析の基礎」をまだご覧になっていない場合は、先にそちらを読んでから「レンジ分析の基礎」を読んで頂けることで、さらにテクニカル分析への理解が深まると思います。

このレンジ分析の基礎が、少しでもFX取引のお役に立てればと思います。

それでは、早速下のチャート1をご覧ください。

(チャート1:インヴァスト証券提供)

上のチャートは、「トレンド分析の基礎」で使ったチャートと全く同じものとなっています。

同じチャートなのにレンジ分析をする事により、チャートの見え方が変わっていき、さらに深まる事を感じて頂ければと思います。

それでは、上のチャートを頭に入れた上で分析を始めていきたいと思います。

レンジ分析の基礎-サポートラインとレジスタンスライン-

下の(チャート2)をご覧ください。2本の水平線が入っただけで何かの規則に従って相場が動いているように見えませんか?

(チャート2:インヴァスト証券提供)

2本の水平線は①の高値と②の安値に入れたものとなっており、そのラインが引かれた後、水色の○で囲ったところを除くとラインで相場が反転している、もしくは動き辛くなっている事が分かると思います。

このように引かれたラインで高値を抑えるように①から引かれた水平線を「レジスタンスライン」、安値を支えるように引かれているラインを「サポートライン」と呼びます。

そして、このようにレジスタンスラインとサポートラインとに挟まれた間で動いている相場を「レンジ相場」と呼びます。

水色の○で囲まれた部分に注目してください。レジスタンスラインから上に突き抜けている事が分かるでしょうか?

一般的に、このように引かれたレジスタンスとサポートラインを上抜ける、または下抜けレンジ相場が崩れる事を「レンジブレイク」と呼びますが、レンジをブレイクした場合、「上に抜ければ相場はドンドン上がっていき、下に抜けた場合にはドンドン相場は下がっていく」と言う展開が見られます。

レンジ分析の基礎-だまし-

さて、先ほど「上に抜けたらドンドン相場は上がっていく」と言いましたが、鋭い方は既にお気づきだと思います。

それでは、下の(チャート3)をご覧ください。

(チャート3:インヴァスト証券提供)

今度も水色の○に注目してください。すると、相場はレジスタンスラインを上抜けしているのに、その後、元に戻ってしまっています。こう言った相場の動きを「だまし」と呼びます。

レンジの分析をするにあたり、一番難しいのがこの「だまし」となります。

例えば、抜けたと思ったのに戻ってきてしまったり、抜けてないと考えて取引をしたのに取引を行った直後に抜けてしまったりと、非常にFX初心者泣かせの存在となります。

実際、この「だまし」に対応する事が、非常に利益と大きく関わってくるため、レンジ分析をする際には切っても切れない関係となります。

この「だまし」の対応については、多くの経験や分析または手法の構築などが必要になりますが、発想を逆転させる事で少しですが、FX初心者も取引の役に立てる事ができます。

レジスタンス・サポートラインは消さない

上で発想を逆転させると言いましたが、発想を逆転させるとは「初心者の方がやってしまいがちなチャート分析を避ける」と言う事です。

先ほどのように2本のラインを入れて、最初のレンジブレイクが結果的に「だまし」に終わった事を受け、初心者の多くは「このレジスタンスラインは機能しない」と判断しがちです。

そして、次にとる行動は、機能しないラインと判断したので折角引いたラインを消してしまいます。

FX入門書や雑誌等では「迷う原因となるので機能しなくなったラインは消す」と書いてあります。恐らくはそれに従った行動だと思います。

しかし、私の個人的な見解となりますが、「1度引いたラインを安易に消さない方が良い」と確信しています。

その一番の理由と言うのは、初心者にレンジ判断やサポート・レジスタンスラインの重要性を説いていないからです。

次の(チャート4)をご覧ください。

(チャート4:インヴァスト証券提供)

新たに③の高値にレジスタンスラインが追加されています。

もちろん、この③のラインが引かれるのは、①のレジスタンスラインをブレイクして③を付けた直後では有りません。引かれたタイミングは③の高値を付けてしばらく下落し始めた時となります。

その理由は既にお分かりだと思いますが、③の高値が何処まで伸びるか分からないからです。

それでは、赤い矢印に注目して頂けるでしょうか?

少し離れていますが、①で引かれたレジスタンスラインが、今度はサポートラインとして意識された取引が行われたように思えます。

これが「1度引いたラインを安易に消さない方が良い」と言う理由になります。

特に、初心者にとって必要なラインがどれで、必要ないのがどのラインかを見極める事が非常に難しい事だと思います。そう言う意味でも、「レンジブレイクしたから」や「だましとなったのでラインがおかしかった」と言ってラインを安易に消さないようにすると、将来の相場展開で思わぬところで役に立つ事があります。

更には初心者が消すと言う事は、考え方によっては「相場経験の少ない人がラインを消している」とも考えられます。

と言う事は、さっきの逆転の発想によると、残しておいた方が良いと言う事になりますよね。

最後に、水色の○で囲われたところで、③で引いたレジスタンスラインがキッチリと機能して高値を抑えてくれた事を確認して次へお進みください。

レンジ幅の広がり

次は下の(チャート5)をご覧ください。

(チャート5:インヴァスト証券提供)

④のポイントで③で高値を抑えられた後に、綺麗に下支えを受けている事が分かります。

④が下支えを受けたラインは、②の安値に引かれたサポートラインとなっています。

これは、どう言うことでしょう?

これが意味しているのは、ニュースなどの影響を受けて相場状況が変化して「レンジの幅が広がった」と考えられます。

つまり、①と②のサポート・レジスタンスラインにて作られていたレンジ環境が、今度は③のレジスタンスラインと②のサポートラインと変化し、③と②の間のレンジ相場の展開へと変わったと言う事です。

(もちろんこの場合、②のラインが④の箇所で少し下に抜けた後、「だまし」として戻しているのですが、④の安値をサポートとして引き、③と④のレンジ相場だと考える事も可能です。しかし、過去に②のサポートラインが非常に意識されているので、私は②のサポートラインを優先させています。)

しかしながら、このままではレンジ幅が無限に広がってしまい、短期相場の流れを見失う恐れが生まれてきます。

そこで、過去に残しておいた①のラインを使う事で、レンジのレベルをある程度意識しながらのチャート分析を行います。

例えば、①のラインは何度か上抜きや下抜きしたので強いサポート・レジスタンスとしては意識されていないが、短期的には反発するポイントとなる可能性を考え、②より上、①より下で買いで取引を行い「半分は①で利益確定をかけて残りを伸ばしてみる」。

同じように③より下、①より上で売りで取引を行い「①で半分利益確定をさせて残りを伸ばす」など、非常に分かりやすい選択肢として使用できます。

また、①より上で買いで取引を行った場合や、逆に①より下で売りで取引を行った場合には、①を近い位置での損切りを行う目安として使う事ができ非常に便利なものとなります。

つまり、過去のサポート・レジスタンスラインを大きなレンジ内でのバロメーター的役割として活用します。

レンジ分析の練習例

最後に、たくさんサポートとレジスタンスラインを引いたレンジの意識をしたチャートを紹介したいと思います。

(チャート6:インヴァスト証券提供)

初心者の内は、こうやって沢山ラインを引いてレンジを分析するのが一番分かりやすいと思い紹介させて頂きました。

まずは、沢山意識されそうなラインをチャート6のように引いていき、その後、将来の相場状況を見ながら必要が無かったら消していきます。

このような事を繰り返していると、自然にどのラインが必要でどのラインが不要か、自然と身に付いてくると思います。

レンジ分析の基礎のまとめ

相場の大半がレンジ相場なので、トレンドが発生していないレンジ相場だけでトレードをしている投資家も少なくありません。是非、レンジ相場の基礎を身に付けて、SNS等でトレーダー同士で語りあってください!

レンジ分析の基礎のまとめ
  • 高値を抑えるように水平線に引かれたラインをレジスタンスラインと呼ぶ。
  • 安値を支えるように水平線に引かれたラインをサポートラインと呼ぶ。
  • レジスタンスラインとサポートラインとに挟まれた間で動いている相場を「レンジ相場」と呼ぶ。
  • 「レジスタンスを上抜ける」「サポートラインを下抜ける」事をレンジブレイクと呼ぶ。
  • レンジブレイクをした場合、ブレイク方向へ相場が動いていく傾向がある。
  • レンジブレイクには「だまし」がある。
  • 過去のレジスタンス・サポートラインは「ブレイク」や「だまし」を確認した後にも簡単には消さない。
  • 過去のレジスタンス・サポートラインは大きなレンジ内での相場のバロメーターとして使う。