ボリンジャーバンド(Bollinger Bands) | トレンド系テクニカル指標

ボリンジャーバンド(Bollinger Bands)

最終更新日: 2020年08月11日

ボリンジャーバンド(Bollinger Bands)」は、1980年頃にジョン・ボリンジャーにより移動平均線(MA)に統計学を加えて考案されたトレンド分析の手法です。

移動平均線に加えられた「統計学」と言う部分は、移動平均線を中心として上下に標準偏差で求められた帯状のライン(バンド)の事で、この上下のバンドによって挟まれた間が、将来の相場における価格の変動幅を一定の確率の元に視覚的に表現したものとなります。

一定の確率と言うのが過去の値動きを元に統計学を用いて求められた結果で、ボリンジャーバンドの±1σ(シグマ)内に値動きが収まる確率は68.3%で、±2σ(シグマ)内に値動きが収まる確率は95.5%だと言われています。

ボリンジャーバンドのイメージ

そのため、値動きはボリンジャーバンドの±2σ(シグマ)内にほぼ収まる事が考えられるため、「逆張り」による投資のタイミング計るための王道的なテクニカル指標だと考えられていますが、考案者であるジョン・ボリンジャーは「順張り」による投資を行うためのテクニカル指標だとしています。

◇ボリンジャーバンドの計算式

標準偏差:σ(シグマ)
σ=√(期間×期間内の終値の2乗の合計-期間内の終値の合計の2乗) ÷ (期間 ×(期間-1))
±1σライン・・・移動平均線の数値±標準偏差
±2σライン・・・移動平均線の数値±2×標準偏差
±3σライン・・・移動平均線の数値±3×標準偏差

◇ボリンジャーバンドの主な設定期間

ボリンジャーバンドの考案者であるジョン・ボリンジャーは移動平均線・標準偏差に用いる期間の設定を21、つまりは21日間で設定していますが、現在、主に投資家の間で使われる期間としては、9日・20日・25日などが主流となっています。

ボリンジャーバンドの見方

ボリンジャーバンドの基本的な見方として、先に紹介したようにボリンジャーバンドは標準偏差値である±(シグマ)で挟まれた間で値動きが将来的に推移する可能性を示しています。下の(チャート1)をご覧ください。

ボリンジャーバンド画像1

(チャート1:マネーパートナーズ提供)

上のチャートは、ボリンジャーバンドの期間21日で設定したものです。

黄色のラインはボリンジャーバンドの中心となる移動平均線で、今回は期間を21日に設定したために21日移動平均線となっています。そして、その21日移動平均線の上に赤いラインで表示しているのが、上から+3σ・+2σ・+1σのボリンジャーバンドで、反対に移動平均線の下に青いラインで表示しているのが、下から-3σ・-2σ・-1σのボリンジャーバンドとなっています。

チャート1)では、±3σ(シグマ)内の間にほぼ全ての値動きが収まっていますが、このように上下のボリンジャーバンドに値動きが収まる確率は次のようになります。

  • ±1σ(シグマ)内に値動きが収まる確率:68.3%
  • ±2σ(シグマ)内に値動きが収まる確率:95.5%
  • ±3σ(シグマ)内に値動きが収まる確率:97.7%

つまり、相場上の値動きはボリンジャーバンドの±2・±3σ内でほぼ収まる事が統計学上で考えられるため、値動きが±2・±3σを突破するような動きを見せた場合には、相場は「売られ過ぎ」もしくは「買われ過ぎ」の状態だと考えられ、やがて±2・±3σ内に収束してくる事が考えられます。

また、ボリンジャーバンドの上下の幅は、予想される将来の値動きの幅と考えられているため、幅が狭いとボラティリティー(価格の変動幅)小さいことが考えられます。そのため、ボリンジャーバンドの幅が狭い場合にはレンジ相場に入っている可能性を示唆しています。

ボリンジャーバンドの使い方

ボリンジャーバンドの主な使い方として、考案者のジョン・ボリンジャーが提案したような順張りでの取引を行う際に使う方法と、特に短期トレードを得意とする投資家により使われている逆張りでの取引を行う方法の大きく分けて2種類の使い方があります。

◇順張りでのボリンジャーバンドの使い方

まずは、ジョン・ボリンジャーが提案した順張りでのボリンジャーバンドの使い方についてですが、順張りでのボリンジャーバンドの使い方の基本として、「エクスパンション」と「バンドウォーク」を利用した使い方が基本となります。まずは下の(チャート2)をご覧ください。

順張りでのボリンジャーバンドの使い方画像

(チャート2:マネーパートナーズ提供)

(チャート2)は、先に「ボリンジャーバンドの見方」で紹介したものと同じものとなりますが、今度は黄色の○と緑色の□で示したものに注目しながらご覧ください。

まず、黄色の○で囲まれた箇所について、ボリンジャーバンドが徐々に収縮していき、そして広がりを見せようとしている事が確認できます。このように、ボリンジャーバンドが広がり出す事を「ボリンジャーバンドのエクスパンション(拡大)」と呼び、レンジ相場からボラティリティの上昇が見られ始めてトレンドが起きる前兆を示唆しています。

次に、緑色の□で囲まれている箇所について、ボリンジャーバンドの+1σと+2σの間に挟まれるように価格が上昇している事が確認できるかと思います。このように、ボリンジャーバンドに吸い寄せられるように価格が上昇、または下降することを「ボリンジャーバンドのバンドウォーク」と呼び、トレンドが発生している事を示唆しています。

バンドウォークは、上昇トレンドの場合はプラスのシグマに、下降トレンドの際はマイナスのシグマに吸い寄せられるように価格が推移しますが、主に±1σと±2σの間で推移してトレンドが起こっている事を示唆する事が多いです。

このように、ボリンジャーバンドのエクスパンションとバンドウォークを確認した後に、トレンド方向へと取引を行う事がボリンジャーバンドの順張りでの使い方となります。

◇逆張りでのボリンジャーバンドの使い方

次に短期トレードを行うスキャルピングトレーダーにより良く用いられる、ボリンジャーバンドの逆張りでの使い方についてですが、逆張りで使う場合には先に紹介した、ボリンジャーバンドのバンド内で価格が収まる可能性を使った取引方法となります。今回も先に下の(チャート3)をご覧ください。

逆張りでのボリンジャーバンドの使い方画像

(チャート3:マネーパートナーズ提供)

今回は、分かりやすくするためにボリンジャーバンドの±1σを表示せずに±2σのみをチャートに表示しています。

ボリンジャーバンドで逆張りを行うタイミングは、ボリンジャーバンド±2σ内に価格の推移が収まる可能性が95.5%あるのですから、逆に±2σを突破した価格は売られ過ぎや買われ過ぎの状態なので、ボリンジャーバンド内に再び収束すると考える事から行います。つまり、(チャート3)で示した黄色の○が売買ポイントなります。

このボリンジャーバンドで逆張りを行う際のポイントとして、「順張りでの使い方」で紹介した「ボリンジャーバンドのエクスパンション」と言う言葉がありますが、その「ボリンジャーバンドのエクスパンションが発生していない事」と言う条件を加える事で精度が上がると考えられています。つまり、レンジ相場の動きの中で逆張りを行う事になります。

また、必ず相場が反転したのを確認してから行うと言うのも非常に大事なポイントとなってきます。それは、後で紹介するボリンジャーバンドの欠点があるためです。

ボリンジャーバンドに限った事では無いのですが、逆張りでの取引は非常に経験と集中力を必要とする玄人好みの取引となるので、FX初心者の方は特に注意が必要となります。

また、緑の○で囲まれた箇所を見て分かるように、だましと呼ばれるテクニカル指標では売買サインが出たものの、「価格の推移はサイン通りには動いてくれない」と言うパターンも存在します。

ボリンジャーバンドの欠点

次は、ボリンジャーバンドの欠点についてです。どんなテクニカル指標においても利点と欠点が存在しますが、ボリンジャーバンドも例外ではありません。まずは下の(チャート4)をご覧ください。

ボリンジャーバンドの欠点画像

(チャート4:マネーパートナーズ提供)

(チャート4)の黄色の○で囲まれた箇所を見ていただけると分かりますが、-2σを大きく下に突き破り、その後、一気に相場が上昇している事が分かります。

このような急落をしているさなかに、「ボリンジャーバンドの2σを超えたから」と言って下落する最中に逆張りで取引を行ってしまうと、一時的に大きな損を招いた事が分かります。

何度か紹介していますがボリンジャーバンドの±2σ以内に相場が収まる確率は95.5%です。つまり、±2σを超える場合には売られ過ぎ買われすぎを示しますが、言い換えると相場全体の4.5%しかない異常相場を示しているとも言えます。

そして、そのような異常相場には、○○ショックと呼ばれるような数年に1度しかない非常に大きな値動きを見せる相場も含れ、過去の値動きの統計から導き出されたボリンジャーバンドでは異常相場が起こった場合には全く役に立ちません。このような大きな欠点をボリンジャーバンドは合わせ持っています。

ボリンジャーバンドは、逆張りで使う事により順張りではできなかったピンポイントの売買ポイントを示しますが、逆張りで使う事により同時に大きな欠点が背中合わせとなってしまいます。そのため、逆張りで使う際には必ず相場の反転を確認する必要があります。

また、ボリンジャーバンドは順張りで使うと売買ポイントが遅いと言う欠点を持っていますが、ボリンジャーバンドを使う際には利点と同じように欠点についても考慮した取引が必要となります。

ボリンジャーバンドのまとめ

ボリンジャーバンドは特にテクニカルトレーダーならば、必ず1度は使ったことがあるテクニカル指標になります。特に、後付けで形が書き変わってしまうため、『だまし』も発生しやすいので逆張りの目安として利用される際には注意が必要です。

ボリンジャーバンドのまとめ
  • ボリンジャーバンドの±1σ(シグマ)内に値動きが収まる確率は68.3%で、±2σ(シグマ)内に値動きが収まる確率は95.5%
  • ボリンジャーバンドの期間設定は、9日・20日・25日などが主流で、考案者であるジョン・ボリンジャーは21日間を使用している。
  • バンド幅が狭い場合には相場がレンジ状態にある事を示唆している。
  • 順張りでの取引に使う際は「エクスパンション」と「バンドウォーク」を確認する。
  • 逆張りでの取引を行う際は「必ず相場が反転したのを確認してから」行う。
  • ボリンジャーバンドは異常相場では役に立たない欠点を持っている。
  • 順張りでボリンジャーバンドを使うと売買ポイントはどうしても遅れてしまう傾向にある。