ランダムウォーク理論を知った上でのトレード

ランダムウォーク理論を知った上でのトレード

最終更新日: 2020年08月03日

トレーダーの中には「FX(相場)と言うのは、そもそも上がるか下がるか分からないものだから予想する意味は無い」と強く主張される方がいらっしゃいます。

そう言った方の多くは、所謂「ランダムウォーク理論」の信者で、マーケットの全てが「予想を超えた上に成り立っている」と考えておられる方々です。

FX初心者の場合、こう言った「ランダムウォーク理論と言う考えがある」と言う事さえも知らない人ばかりかと思いますが、ここではそんなFX初心者のために「ランダムウォーク理論」について解説すると共に、この考えを知る事でFXトレードを助ける方法を紹介してみたいと思います。

ここでは、「ランダムウォーク理論を知った上でのトレード」について紹介していますが、構成内容は以下の通りとなっています。

そもそもランダムウォーク理論とは?

相場が上がったり下がっているするイメージ

そもそも「ランダムウォーク理論」について知らないFX初心者の方がほとんどなので、まずは「ランダムウォーク理論」とは一体どう言うものなのか?その考え方について、まずは紹介していきたいと思います。

ランダムウォーク理論とは、「FX相場(株式相場)の値動きについて“予測の不可能性”を説明する理論」で、言い変えれば「相場は予想するだけ無駄ですよ」と言う考えを数学的な考えから導き出した理論です。

この検証について、「コンピューターによりランダムで発生させた相場(チャート)が、実際の相場と全く見分けが付かない」ため、マーケットを予想する事はランダムに作られた動きを予想する事と等しいとするものです。

例えば、FXチャートを分析するために数多くのテクニカル指標が開発され、世界中のトレーダーにより使用されていますが、残念ながら長い相場の歴史でも“聖杯”と呼ばれるテクニカル指標は見つかっておらず、その全てのテクニカル指標は相場の値動きを100%当てる事は有りません。

つまりは、「テクニカル指標を使用しても相場は結局ランダムな動きをするため、将来の動きを予想する事は不可能だ」と言う事です。

また「猿のダーツ投げ」と呼ばれる理論も、このランダムウォーク理論と同じような意味を持つ理論で、猿に新聞を的にダーツを投げさせ、当たった銘柄を元に資産運用をしても、結果は真剣に運用したものと大差は無かったとするものです。

要するに、「ランダムウォーク理論」や「猿のダーツ投げ」が言いたい事は、どんな優秀な数学的相場予想ツールができたとしても、過去のマーケット動向を100%予言していても将来のマーケットは予想できないと言う事です。

日本時間に作られる相場

実は、この「ランダムウォーク理論」を利用して作られたテクニカル指標と言うのが、「ボリンジャーバンド(Bollinger Bands)」と言う指標なのですが、このボリンジャーバンドでは、通常の相場の動きとは異なった動きを捕える事により、「行き過ぎた動きから元へと戻っていく相場」を捕えるために使われます(他の使用方法も有り)。

つまりは、相場はランダムである事を前提とした上で「ある一定の範囲内に収まる確率」を数学的な立場から分析して、マーケットの予想をしようと言うものです。

そこには、全く「相場がなぜ動いているのか?」や「どうしてこんなにも動いたのか?」と言う動きの中身は重要視されず(ランダムなので)、相場が動いた結果だけを元にマーケットを予想していく事になります。

日本時間に発生するランダムウォーク理論から派生したアルゴリズム取引

実は、このランダムウォーク理論を使ったテクニカル指標が登場してきた事で、時折ですが、「日本時間に非常に特徴的な相場が作られる」事が有ります。

その相場と言うのが、「アルゴリズム取引」が盛んに行われ、完全にテクニカル指標を“かく乱”された(した)相場です。

例えば、「マーケットは誰にも予想できないもの」だと仮定すると、何処で売り買いをしても結局のところ結果は同じです。

その中で、「もしも、何処で売り買いしても結果が同じ」だとするならば、売り買いのポイントが重要なのでは無く、「そのランダムな相場を捕えるテクニカル指標をターゲットにした取引をすれば儲けが出るだろう」と言う考えです。

つまりは、一定期間、ランダムな相場を分析するためのテクニカル指標が示すサインの逆の取引をする事で、そのテクニカル指標を使うトレーダーの判断を狂わせて、最終的には従うと言うものです。

もっと簡単に説明すると、「テクニカル指標の売りサイン」が出たタイミングで、“買い”を入れて、その取引のストップを巻き込んだ時点で買い取った物を一気に売り払います。

つまりは、ターゲットを「あるテクニカル指標の売買サイン」へと絞り、そのサインを見て売買を行うトレーダーを狙い撃ちにして益を上げる方法です。

こう言った、トレードは比較的取引量が少ない日本時間に行われる事が多く、特に日本時間の朝方に時折激しい動きを見せる事があります。

このようなトレード(アルゴリズム取引)の多くは、「スーパーコンピュータによる自動分析」で行われ、一気に何百億と言う資金が動かされる事になります。

つまりは、マーケットは誰にも予想できないのだから、「テクニカル指標の逆を行っても良い」と言う事です。

ランダムウォーク理論を知った上で予想する

これまでランダムウォーク理論を紹介していく上で、相場を分析する事の無意味さを紹介してきましたが、そうは言っても予想を立てないと取引なんてできるわけは有りません。

特に私のように裁量トレード(自分で判断して取引を行う)をメインとしたトレーダーの場合には、予想が無ければマーケットに対して全く歯が立たないと言うのが本音です。

そこで、現在の相場について考えていく事で、ランダムウォーク理論を打破するようなトレードを行っていくことになります。

マーケットの将来を予想するためのファンダメンタルズ分析と合わせたマーケットの感

その打開策として最も優秀なものが、「ファンダメンタルズ分析」です。

ファンダメンタルズ分析とは、マーケットは経済指標(各国経済の強さ)によって動かされているとする分析方法で、各国が発表している経済の強さを示すデータや、要人による発言、それに天候や人々のトレンドなど、その全てがマーケット分析の材料となります。

しかしながら、その全てのファンダメンタルズ材料(ニュースや経済指標など)を使ってトレードをする事は、まず一般の人間にはデータが多すぎて不可能です。

そこで、次の段階として将来のマーケットを予想する方法として使えるのが、“感”になります。

この“マーケット感”をバカにするトレーダーも世の中には沢山いるのですが、先ほどまで紹介した「ランダムウォーク理論」さらに「ファンダメンタルズ分析」を頭に叩き込んだうえでの“感”と言うものは非常に効果的なものとなります。

例えば、世界情勢が不安感で一杯になるような状況と言うのは、コンピュータで導き出したアルゴリズムトレードをする人たちにとっては地獄の相場となり、大損を出す事が非常に多くなります。

一方でファンダメンタルズ分析を元にしたトレーダーからすると、大きくマーケットが動くチャンスとなるのですが、そう言った動きとなる場合、どちらのマーケットに対する考え方も知っていると、恐ろしいほど“感”が当たるようになります。

それは、2つのトレードスタイルの長所と短所を理解した上で、どのような動きを行ってくるのか?が想像できるようになるからです。

しかし、この“マーケットの感”を身に付けるためには、それ相応の時間とトレード経験が必要になってくるため、一般のトレーダーにとっては中々難しく、特に兼業トレーダーの方でこの“感”を手に入れる事ができる方と言うのは極一部と言えます。

それほど、レベルが高い位置にあるのがこの“マーケットの感”と言うものなのですが、その感覚というのは、私の場合、「野生のライオンを目の前にして、逃げずにそこに立っている」と言う物に酷似しています。

つまり、怪しい動きをマーケットが始めると、値動きに“怖さ”を覚えるのですが、その後、その怖さに対抗するようにして“対策を立て”“値動き予想し”向かっていく事になります。

恐らく多くの初心者トレーダーが負ける要因がこの“感”、マーケットの“怖さ”を知らない事が原因だと私は考えています。

「マーケットの怖さは知っているのに負ける」そう言った方の場合、もしかすると「ランダムウォーク理論」に対する考え、もしくは「ファンダメンタルズ分析」に対する考え、そのどちらか、もしくは両方が甘く、現在のマーケットに対する“感”が鈍っているのが原因なのかも知れません。

ランダムウォーク理論を知った上でのトレードのまとめ

ランダムウォーク理論を知った上でのトレードしたらどうなるか?少しイメージして頂けましたでしょうか?正直、「面白い話題だ!」と思って頂けた方も一定数いらっしゃるかと思います。是非、ご友人トレーダーにも教えてあげてくださいね!

ランダムウォーク理論を知った上でのトレードのまとめ
  • ランダムウォーク理論信者はマーケットを予想できないと考える
  • ランダムウォーク理論からアルゴリズムトレードが派生
  • ボリンジャーバンドはランダムウォーク理論を考えたテクニカル指標
  • ランダムウォーク理論とファンダメンタルズ分析から成るマーケットの感が大切