FX入門者でも騙されない経済指標

 「経済指標の発表時には、どのようにして立ち回りをされていますか?」「指標の騙しにはどのように対応されていますか?」

 この手の質問をFXを始めたばかりの方々から数多くお受けするのですが、正直、「どのようなトレードをしているのか?」や「対応方法」と言うと、指標によっても違いますし、その時、その時のマーケットの様子だけで無く、自分自身の体調や勝負勘と言ったものにも左右されるため、なかなか解説をしていくのは難しいところがあります。

 しかし、このような回答では全く参考になりませんし、全く面白くありませんよね。

FX入門が経済指標取引をギャンブルのように思っているイメージ

 そこでここでは、「実は、こういうことを意識することによって指標発表時のトレード効率や確率を向上させる努力をしています」と言ったことを、FX初心者の方々にとって頭の整理になるような形でお話させて頂きたいと思います。

 少し長めの内容になっておりますが、経済指標トレードを“ギャンブル”のように考えている入門トレーダーの方々にとっては、思わぬ収穫になることもあるかと思いますので、お時間が許すようであれば読んで頂ければ幸いです。

 なお、内容は以下の通りとなります。

指標発表時の“騙し”の本質

 まず始めに、「FX初心者の外為入門」ではFX初心者の方々にも、『できるだけ分かりやすく』をモットウにしてFXについて解説を行っているつもりでおりますが、ここではまずマーケットについて「騙しと言う現象がある」ということと、「経済指標トレードの基本」と言うトレーダーにとって必要な2つの知識を持って読んで頂ければと思います。

トレードが複雑になり数値に騙されるイメージ

 そこで、まずはマーケット用語の意味やトレードに関する知識が浅い方は以下の記事を事前に参考にして頂ければと思います。
 ⇒ だましとは?(FX用語解説)
 ⇒ FX初心者でも絶対覚えておきたい経済指標

 それでは、少しマーケットの知識を得て頂いたところで、いよいよ本題へと移らせて頂きたいと思いますが、まずは少しだけ以下の質問について考えてみてください。

 「トレーダーの方々が指標発表時に大きな損失を出す原因は一体何が多いと思いますか?」

 既に気が付いている方も多いと思いますが、実は、この指標トレード時のほぼ全ての“負け要因”として考えられるのは「マーケットの騙し」です。

 例えば、悪い指標結果が発表されて「今後相場は下がるだろう?」と考え「売り注文」を入れた途端に相場が急反転して上昇してしまったり、大きく値が上方向(買い相場)に揺れていたところに“更に伸びること”を期待して少しだけ買ってみたところ、気が付けば損切りが間に合わないほどの速さでレートが落ちていってしまったりと言う経験をしたことは無いでしょうか?

 つまりこれは「マーケットにすっかり騙されてしまった」ことを意味する訳ですが、このようにマーケットに騙されるのは理由があり、それは「何を主軸にしてトレードをしているのか?」と言うことに依存しています。

 そして、こうした「マーケットに騙された理由」を各々のトレーダーが明確にすることによりトレードにある程度の軌道修正を持たせることが可能になります。

 さて、そこで気になってくる「経済指標発表時に騙しを発生させるトレードの主軸」についてですが、嬉しいことに「トレードの主軸となるもの」と言うのはトレーダーによって違いがあれど、突き詰めていけばそこまで複雑に絡み合うものでは無く、大きくカテゴリーとして整理し分けてしまうと「3つ」に集約されてきます。

 私としても複雑なマーケット談義を延々と書き綴らなくて済んだ訳ですし、皆様にとっても難しいマーケット用語がバンバン飛び交う参考文献のような私の論文を読まずに済んだ訳ですね(笑)。

 それでは、気になる「3つのトレードの主軸」について見て下さい。

  • ・テクニカル(チャート)的要素がトレードの主軸(騙し)
  • ・ファンダメンタルズ(マーケットの噂)的要素がトレードの主軸(騙し)
  • ・心理(視覚・イメージ・値動き)的要素がトレードの主軸(騙し)

 例えば、トレードの主軸にしているものが「テクニカル指標」であるならば、『テクニカル(チャート)的要素がトレードの主軸(騙し)』を追求し、指標トレードの効率を上げることにより失敗トレードを減らすことができるようになり、心理的な不安要因から負けていらっしゃる方は『心理(視覚・イメージ・値動き)的要素がトレードの主軸(騙し)』について徹底的に対策を立てることで、トレードのパフォーマンスを大きく改善することが可能になります。

 しかしながら、恐らくここにいらっしゃるほとんどの方は「私はテクニカルトレードが100%です」と言った、どれか1つに特化したトレードを行っている方では無く、「60%がテクニカルで40%がファンダメンタルズかな?」と言ったように、幾つかに分散されたトレード構成なっているかと思います。

 ※ 余談ですが、私の場合は「15%がテクニカルで80%ファンダメンタルズ、残りが心理的な要因」と言うものが主軸になっております。

 つまりは、ある程度自分のトレードの主軸になっているものを再認識させることで、負け要因となる自分のトレードに掛かる割合を知ることができ、その改善こそが今後の指標トレードで役に立ってくる訳です。

 ここまで見えてくれば、「あなたが指標発表時になぜ騙されているのか?」と言う本質へと一気に迫っていくことができますので、ある程度自分のトレードの割り振りを意識したまま次の章へとお進みください。

指標時の相場に騙される要因を追求する

 それでは、早速となりますが、先ほど紹介した「トレードの主軸」に関する3つの騙しについて追求しながら考えていきましょう。

トレードの最後のピースがはまる様子

 先ほどイメージした3つの主軸に掛かるトレードの割合を意識しながらお読みください。

テクニカル(チャート)的要素がトレードの主軸(騙し)

 特にこの「テクニカルトレード」を主にトレードで重要視してこられた方々は、経済指標発表時には数多くの“痛い思い”を経験されてきた方々のはずです。

 そもそも経済指標発表時のトレードは、「経済指標の重要度合い」や「指標結果の予想からの乖離」、それに「マーケットのサプライズ要因を含んだ指標(指標発表が何かの原因で行われない等)」と言った要因で値幅や値動き(プライスアクション)が変わってくるのですが、指標によっては『通常のマーケットには無い値動き』をすることになります。

 しかしながら、テクニカルトレードと言うものは、通常、「過去の相場データに基づいた売買」を行うため、通常のマーケットでは余り見られないような値動きの前では『理論そのものが崩壊すること』になってしまいます。

 そのため、トレードをプログラミング等に特化させ自動売買で利益を生み出すプロトレーダーの多くは、大きな動きが予想される指標前には売買を停止させるアルゴリズムを組み込んだり、指標専用となるトレーディングメソッドを開発する、またはプライスアクションの強弱によってトレードを遮断したりと言った「何かしらの措置(対策)」をとっています。

 そのような百戦錬磨のテクニカルトレーダーが五万と居るマーケット環境の中で、一朝一夕で作り上げたようなテクニカルトレーディングメソッドが上手くいくのは非常に稀であり、機能したとしてもそれを継続していくのは「本当に難しい」と言うのが現実です。

 特に、大きな値動きが起きやすい重要指標に対しても、テクニカル指標は「逆張り」での売買をトレーダーに示唆するケースも多々有り、トレード期間は短期であるにも関わらず損失は大きなものになってしまっているケースも目立ちます。

 「大小どのような動きで有ったとしても全てはチャートに反映されるので、指標発表時で有っても問題無く私のテクニカルは通用する」と言うテクニカルトレーダーの方もいらっしゃるのはいらっしゃるのですが、正直、そこまでのテクニカルトレーダーにまで到達するのは至難の業ですし、到達できない方がほとんどです。

 マーケットでは戦っている相手がヘッジファンドであったり大手金融業界のプロであったりと大物が揃いとなりますので、私が自分にいつも言い聞かせていることでもあるのですが、「身の程を知る」と言うことをテクニカルトレーダーの方は意識しておいても良いのかも知れません。

ファンダメンタルズ(マーケットの噂)的要素がトレードの主軸(騙し)

 続いて、ファンダメンタルズ分析を主な柱としてトレードをされている方のために、指標時のトレードについて言及をしていきたいと思いますが、まず、ほとんどのファンダメンタルズトレーダーは指標の予想値と結果のギャップ(誤差)や事前に流れているニュース、それにマーケットの噂等を用いて分析を行いトレードの材料としていらっしゃるかはずです。

 しかしながら、そんな多角度からの分析を行うファンダメンタルズトレーダーにありがちな指標時の騙され方として「そもそもファンダメンタルズ分析の勉強不足」と言うものが挙げられます。

 例えば、ドル円のトレードにおいて「米国の指標が良かったから米ドルを買って円を売った」と言うのは一般的に“正しい”とされるファンダメンタルズ分析になりますが、その結論へと結びつけるには「背後関係のニュースを徹底的に分析した上でドル買い」と言う決断を下さなければ、日々刻々と変化し続けるマーケットの状況においてのファンダメンタルズ分析は、将来的にトレーダーを分析の迷宮へと迷い込んでしまうことになるためです。

 また、ファンダメンタルズトレーダーの多くは、ファンダメンタルズ分析の特性上「中長期スパンでのトレード」をされる方が比較的多いため、どうしても指標トレードのように短期的な決断を行う場面において「ずるずるとポジションを引きずってしまう傾向」があり、気が付けば「ファンダメンタルズの転換」を感じているにも関わらず損切りができず、「相場転換を無視してしまう」と言う根本的な迷子になってしまうケースも珍しくありません。

 指標発表後に「ジワジワと真綿で首を絞められるような思い」をしたくなければ、最低でもその日のニュースだけでも読んでから指標トレードに挑むようにして頂ければと思います。

心理(視覚・イメージ・値動き)的要素がトレードの主軸(騙し)

 最後に心理や視覚的なイメージから指標トレードで騙しに合われるケースですが、例えば、指標発表後に大きく値を下げた通貨に対して「値ごろ感から思わず逆張り買いで入ってしまう」と言う経験は無いでしょうか?

 指標発表は、指標や結果(数値)によっては目の前で大きくチャートが動く(値が動く)ため、人間はついつい値ごろ感からトレードがしたくなってしまいます。

 もちろん気分で入ったトレードに「意思」や「思い入れ」なんてものは有りませんから、勝てば「ラッキー」ですが、負ければ「もう1回」と言う気持ちになってしまいますよね。

 しかし、この「もう1回」の恐怖について、恐らくここにいらっしゃるほとんどのトレーダーの方は知っていらっしゃると思いますが、実際、値ごろ感で何度かトレードを行っていると「必ずポジションはマーケットに捕まる」ことになります。

 さて、ここで問題となるのは「トレードに魂が有ったのか?」と言う話になりますが、「思い入れの全く無い値ごろ感トレードで100万円の含み損」となってしまった場合、あなたはこのポジションを「思い入れなくとも切ること(損切りすること)」はできるでしょうか?

 ※ 「思い入れのあるポジション = ポジションのストップ・リミットや将来の展開における行方までしっかりと考えた上でエントリーしたポジション」

 これが指標発表時に心理面でマーケットの騙しに合いやすい方々のトレードの特徴です。

 「あれ?一気にここまで落ちているけど、もうこれ以上は落ちないでしょ!!」、正直言いますと、私は何度も何度も、本当に何度も何度もこの感情に左右されて痛い目に遭ったトレーダーの1人です(笑)。

指標トレードを進化させる!

 それぞれのトレードを軸にマーケットと戦っていらっしゃる皆様のそれぞれの指標時の負け材料が見つかったところで、最後にその弱点を克服して指標トレードの成功率を上げること、つまりは「指標トレードの核心」へと迫っていきましょう。

本を読んでFX取引を勉強するイメージ

テクニカル重視の指標トレードの進化

 まずテクニカルを重視して経済指標に挑む場合、やはり頭に入れておく必要があることは「値動きはテクニカル通りに動かなかった場合にどのように対応するのか?」と言う点です。

 この解決策としては、個々のトレーダーが様々な知恵や経験を持ち合い、日々マーケットと向き合う中で格闘していることになりますが、例えば、1つのアイデアとして、「狭い値幅に集約した場合には短い時間軸をベースにトレードを組み立て、大きな値動きとなった場合には狭い直近ベースの値動きだけでマーケットを追いかけるのでは無く、日足・週足まで視野を広げてテクニカルポイントを2つ3つと用意する」と言う方法があります。

 これは、テクニカルトレードを不安定な相場状況に合わせて流動性を持たせることも意味すると共に、時にマーケットが荒れ狂いテクニカルポイントを次々とブレイクするような大波となりトレーダーに対して牙を剥くような事態となった場合においても、「長い目を持ちマーケットと向き合えば大した無い」と思えるためです。

 また、過去に起こったどのようなチャート状況においても、その時に傷付いたトレーダーの心を癒すかのように、後のマーケットは、値動きによってテクニカルポイントの修正を行ってくれています。

 つまりは、将来完成するチャートを長い目を持って意識することによりテクニカルトレードを進化させ、テクニカルが通用しないような指標発表時や極限相場にも臨機応変な対応を可能にし、これまで大怪我をしていた負けトレード時の損失を大幅に軽減することができるようになります。

 テクニカルトレーダーの基本は確率です。

 マーケットで生き残れさえすれば「確率には分がある」ことこそがテクニカルトレーダーですので、「如何に一発のトレードで飛んでしまわないようにするか?」そこに焦点を合わせたトレードこそが突破口となるはずです。

ファンダメンタルズ重視の指標トレードの進化

 ファンダメンタルズトレーダーの場合、基本はしっかりと毎日のマーケットニュースを読むことですが、そうした時間が無い方は指標に「良い・悪い・どちらとも言えない」の3種の結果を想定した上でトレードに望むことが大切です。

 例えば、発表予定の指標が良かった場合は「○○だから買いで動きやすい」、指標が悪かった場合は「恐らく○○だから売られやすいだろう」、そして微妙な数値だった場合には「マーケットの判断が難しくなるので、○○に影響されやすい動きとなるだろう」と言う考えを準備しておきます。

 そして、「次の日のニュースにどのような記事として掲載されるか?」を考えることでさらに思考の質を高めておくことで成果を飛躍させることができるようになります。

 またファンダメンタルズ分析の幅を広げるために、直接的に自分が取引をしようとする通貨ペアを意識するのでは無く、「株価・米国債」と言ったものも関連付けをした値動きに対する準備を行っておくと、より良い成果が期待できるようになります。

 最初は難しいですが、こうしたファンダメンタルズ分析に興味がある方は以下の記事等もトレードの参考にして頂ければと思います。

 ⇒ 為替の動きを株・国債・金相場から読む方法
 ⇒ 国債の利回りから通貨に与える影響を考える理由

心理・プライスアクション重視の指標トレードの進化

 心理やプライスアクションをベースに指標トレードをされる方は、「心理的な節目」と言う考え方をトレードに取り入れてみては如何でしょう?

 これはテクニカルトレードにも通じるところがあるのですが、マーケットにはダブルオーと言った「121.00」のようにゼロが2つで終わるような“切り番”と呼ばれる心理的節目があるのですが、その切り番を意識することによって、他のトレーダー(自分と同方向・逆方向のポジションを持ったトレーダー)の心理状態をより正確に知ることができるようになります。

 他のトレーダーの考えを意識しながらプライスアクションを見る自分に反映することができれば、「値ごろ感」を見極める能力は飛躍的にアップするでしょう。

 また、切り番についてのトレードは、以下の記事で詳しくご紹介しておりますので、気になった方は何かの参考にして頂ければ幸いです。

 ⇒ キリ番(ダブルオー)を狙う手法

指標トレードの進化について

 さて、この3つのことさえ気に掛けておくだけで、経済指標発表時における値動きに対する対応力は劇的な変化を見せることになりますが、それでも最終的なところでは「全体的には慣れ」、つまりは自分なりの解釈のようなものも必要になってきます。

 私の場合ですと、先に解説をした部分を自分なりにアレンジを加え、経済指標発表には、指標発表結果に基づいたファンダメンタルズ分析を行い、そうした結果にたどり着いたトレーダーが「どのような影響を受けて、どれほど意識した売買してくるのか?」を考え、そこに「指標結果からくる値ごろ感」と「テクニカルポイント」を考慮して取引をしています。

 ファンダメンタルズ的な部分は事前に模索することができるため、指標発表と言う時間制約がある中でも迅速に動くことができますし、テクニカル分析は現状把握には大いに役立ちます。

 この方法は、ニュースを日々読み込んでおくなど時間的にかなりの余裕が無ければなかなか難しいですが、先に解説をしたものの「ただの組み合わせ」でしかなく特に難しいことは行っておりません。

 しかしながら効果は絶大であり、もちろんそれなりの結果は毎年付いてきている(付いてきてくれている)指標トレードとなります。

 何処までマーケットから感じるものを形としていくかはトレーダーのサジ加減の部分が大きいですが、ここで紹介し解説を行った指標トレードは、初心者トレーダーでも十分に組み立てられるトレーディングメソッドとなりますので参考になる部分があれば自由に使って頂ければと思います。

 トレードもまた「日々の積み重ね」なのかも知れませんね。

FX入門者でも騙されない経済指標のまとめ

 これまでの「FX入門者でも騙されない経済指標」のまとめです。

  • 指標時の負け要因は分析しておく
  • 1つに絞らず組み合わせを意識してトレードを行う
  • ファンダメンタルズ分析は時間が掛かるが準備ができる
  • 3つの要素を上手く整理すると初心者でも使えるようになる

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