ハイパースピードネクストのバックテスト結果の見方

ハイパースピードネクストのバックテスト結果の見方

記事公開日: 2015年01月01日

最終更新日: 2020年07月29日

マネーパートナーズにより提供されているハイパースピードネクストのバックテストにより得られたデータの見方について紹介しています。

バックテスト結果の一部はFX初心者にとって分かりにくい専門用語が使われているので、項目別に分類して全てのテスト結果について説明をしています。

上はバックテスト結果を項目別に分類したテスト結果が表示された画面となっています。表示されている番号は以下の番号と連動しています。

総損益・利益・損失の結果

バックテスト結果最上部に表示されているのは、主に総資産の変化についてです。

バックテストの総損益・利益・損失のデータ

「pips」を使った表示に設定されていますがハイパースピードネクストは「円」表示も可能になっています。

総損益

「総損益」は、過去の相場状況での手法がいくらの損益を出したかを示しています。このデータには現在保有している確定している損益は含まれず、「総利益」から「総損失」を差し引いた数字となります。手法のパフォーマンス(利益)を示す最も分かりやすいデータです。

実現損益

「実現損益」は、「総損益」に現在保有しているポジションの変動する可能性のある損益を加えたものです。計算は「総損益」に「未確定損益」を加えたものになりますが、「未確定損益」がマイナスの場合には「総損益」から差し引かれる事になります。長い期間ポジションをホールドするような手法の場合には、現在の損益を通算してあるデータの方が的確なテスト結果を示す場合が有ります。

総利益

「総利益」は、勝ちトレードのみ獲得「pips」を合計したものを示しています。負け手法の場合でも、「単に勝ちが小さく為に負けている」または「勝ちが大きいのにも関わらず負けが更に大きいから負けている」など、手法の欠陥元を知る手掛かりとしても重宝します。

未確定損益

「未確定損益」は現在(バックテスト期間終了時)の保有しているポジションの損益を示したものですが、長期間ポジションを保有している手法のテスト結果を見る時に使います。また、「総取引回数」が予想以上に少なく「未確定損益」が有る場合には、バックテストの途中で何かの原因でポジションを決済(損切り)できずに持ち続けてしまっている可能性が有ります。手法のエラー探しとしても重宝します。

総損失

「総損失」は、「総利益」の反対で負けトレードのみを合計した損失です。「総利益」と比べ「総損失」が異常な大きさになっている場合には、手法が全く機能していない可能性も有ります。特に優秀な手法のバックテスト結果は「総損失」が比較的に小さくなる傾向が有ります。

ドローダウン・シャープレシオ・プロフィットファクターなどの結果

2段目に表示されているバックテストデータは、主に手法の細かい性能を示すものとなっており、特にシステムトレーダーによって重要視されているデータが沢山有ります。

バックテストのドローダウン・シャープレシオ・プロフィットファクターなどのデータ

このデータも「pips」で表示されていますが、ハイパースピードネクストでは「円」表示へと変更する事が可能となっています。

最大ドローダウン

「最大ドローダウン」は、資金が最高額となってから一度減少して再び最高額を更新した場合に算出されます。例えば、100万円スタートの後、120万円に増え、その後トレードをして90万円になった場合に、「スタート資金が100万円で90万円になったから最大ドローダウンは10万円だ」と言うのは誤りです。この場合には、120万円が最高額となっているので「最大ドローダウンは30万円」となります。

「最大ドローダウン」は、最大での資産の減少幅を示しているため、手法を実際に運用する際には「いくら必要なのか」について知る手掛かりとなります。いくらバックテスト結果が優秀な手法でも、最大ドローダウンが異常に大きな数値を示している手法は非常に危険なストラテジだと言われています。

特に、システムトレーダーの間では「最大ドローダウンの3~5倍の損益は想定内」と言う言葉も有り、実際にシステムトレードを始めると何かのはずみで大きな損失を出す可能性があります。

バックテスト結果の「最大ドローダウン」が200万円となったのであれば、実際には600~1000万円の資産が最低でも必要な事を指すので、極力「最大ドローダウン」が小さな手法を目指すのがポイントです。

最大利益

「最大利益」は、1回のトレードで出た最大の利益幅を示しています。特にアノマリー(非日常)の相場展開で1回だけ大勝を収めて、後は少しずつ負けているような手法の場合には、この「最大利益」が「総損益」に比べて異常に大きな数値をを示す傾向にあります。一発屋かどうかを知る手掛かりとなります。

最大損失

「最大損失」は、「最大利益」と反対に1回のトレードで出た最大の損失幅を示しています。「総損益」がプラスなのにも関わらず、「最大損失」が異常に大きな数値となっている場合、アノマリー(非日常)的な相場展開での大敗が有る可能性が有ります。手法を安定的にさせるためには「最大ドローダウン」と「最大損失」を如何に抑えるかが鍵となります。

シャープレシオ

「シャープレシオ」は、リスクに対してのリターンが大きい事、効率の良い利益を上げている事、手法を運用した際の成績が優れている事を示す指標です。主にファンドの成果状況を示す方法として使われていますが、数字が大きければ大きいほど安定した利益を出せている事を示します。

特にFXのバックテストを行った結果得られた「シャープレシオ」は、資産の増加曲線から乖離した損失が有ると数値が下がると考え、手法の質を他の手法と比較する際に重宝します。

また、「シャープレシオ」の目安として「1以上は良」「2以上で優良」「3以上ならば最良」と考え、手法作成の時に破棄するかどうかの基準として使われる事も有ります。

プロフィットファクター

「プロフィットファクター」も「シャープレシオ」同様に手法のパフォーマンスを示す指標の1つですが、「プロフィットファクター」は単純に「総利益 ÷ 総損失」で求められています。

「1」を基準としており、1以下であればストラテジが損失を出している事を示し、1以上であればストラテジが利益を出している事を示します。

「プロフィットファクター」の目安として、「1.0~1.5は運用に黄色信号」「1.5~2.0は良ストラテジ」「2.0~2.9は優良ストラテジ」「3.0以上は最良ストラテジ(過度のカーブフィッティング(最適化)を疑うレベル)」とお考えください。

また、「プロフィットファクター」は、投資額によって数値を操作できるため、その数値だけを追い求めるのは止めた方が手法の質を高める傾向にあります。

リスクリターン率

「リスクリターン率」は、「総損益 ÷ 最大ドローダウン」で求められる指標で、数字が100%以下の場合にはリスクの割りに利益が伸びていない事を示しています。

「リスクリターン率」の目安としては、200%以上が良いストラテジと考えられており、300%を超えるものは安定していると考えられています。

また、「リスクリターン率」は、特に「最大ドローダウン」を小さくする事を考えているシステムトレーダーによって注目されています。

ペイオフレシオ

「ペイオフレシオ」は、「損失レシオ」としても有名で、「平均利益 ÷ 平均損失」で求められる数値の事です。一般的に1以上が理想とされていますが、「ペイオフレシオ」の数値は順張り手法の場合に大きくなり、逆張り手法の場合には小さくなると言う傾向が有ります。

そのため、「ペイオフレシオ」がストラテジの品質の全てだとは言えませんが、「ペイオフレシオ」が小さい手法の場合には、勝率を上げて勝ちトレードを増やす必要が出てきます。

Kレシオ

「Kレシオ」は損益曲線に対するトレンドラインの傾きを表しており、0を基準とした数値で示しています。「Kレシオ」が0以上であれば、利益方向へとストラテジのトレンドが傾いている事を示しています。

目安としては、「2以上の数値であれば安定した損益曲線を描いている」とされており、特に安定したストラテジの作成を考えているトレーダーは注目している数値です。

取引回数・勝率などの結果

3段目には、主に取引回数に関係のあるバックテスト結果が表示されています。

取引回数や勝利などのバックテストデータ

この項目では、数についてのデータとなりますが、特に総取引数や勝率について拘るシステムトーレーダーが数多くいらっしゃいます。

総取引数

「総取引数」は、バックテスト期間中に何回の取引が行われたかを示しています。特に「総取引数」が少ないバックテスト結果は信憑性が無い可能性を示しているため、ある程度の回数が有る事が望ましいとされています。

手法として使う場合においても、数ヶ月に1度しか売買シグナルを出さないような手法を、実際の資産運用として使えるのかを考える意味でも重要な回数となります。

勝取引数

「勝取引数」は勝ちトレードとなった回数を示しています。「勝取引数」は「負取引数」の数より多い方が望ましいですが、1度の取引での利益率が高いのであれば、そこまで気にする数字ではありません。

逆に、1回も勝てないようなストラテジとなった場合には、逆転の発想ができる可能性もあるため、負けストラテジができた際には注目してみたい数字となります。

イーブントレード数

「イーブントレード数」は、勝ち負けの付かない引き分けのトレード結果を示しています。「イーブントレード数」が多いストラテジの場合には、引き分けをどのようにプラスの取引に変えていくかを考える事で、良質の手法を見つける手掛かりとなります。

買取引回数

「買取引回数」は、買いで新規取引を行った回数を示しています。買いの場合に値動きは売りと比較すると、ゆっくり利益が増えていく傾向があります。「買取引回数」が突出して多い場合には、手法にそれを考慮したものを組み込む事で成果が伸びる可能性があります。

売取引回数

「売取引回数」は、売りで新規取引を行った回数を示しています。売りの場合には買いの場合と反対で、利益が短い期間で大きく伸びる傾向にあります。「売取引回数」多い場合には、短期での投資となるようにロジックを組み込む事で成果が伸びる可能性があります。

最多連勝数

「最多連勝数」は、最大で何連勝したかを示す数値です。連勝数はそのまま資産の増加に繋がるので、「最多連敗数」と比較しながら、「なぜ連勝となったのか」や「なぜ連勝が途切れたのか」と言う原因を探る事も大切です。

負取引数

「負取引数」は、「勝取引数」の反対に負けトレードとなった回数を示しています。「負取引数」の多さは「勝率」へと影響が出ますが、回数事態はそこまで気にする事はありません。

しかし、「勝取引数」と同様に、「負取引数」が「勝取引数」と比較して圧倒的に多い場合には、そのロジックを逆転させる思考で良質のストラテジを生み出す可能性があります。

勝率

「勝率」は、「勝取引数 ÷ 総取引数」で求められますが、総取引数における勝ち取引の割合を示しています。

勝率は、利益確定の値幅を小さくする事で伸びる傾向にありますが、「勝率が高いストラテジ = 良質のストラテジ」とはならない事を覚えておく必要があります。

買取引の勝率

「買取引の勝率」は、買い取引の場合の勝率を示しています。この数値は「売取引の勝率」と比較する事で、どちらがより高い勝率を出しているのか知る事ができます。

特にどちらか一方の勝率が突出して悪い場合には、「一方を改善する」もしくは「一方を停止する」事で良質なストラテジとなる可能性があります。

売取引の勝率

「売取引の勝率」は、「買取引の勝率」とは反対に売り取引においての勝率を示しています。

最多連敗数

「最多連敗数」は、「最多連勝数」とは反対に負けトレードの連続数を示しています。特に手法をシグナルとして使い手動での取引を行う場合には、「最多連敗数」が異常に多いと取引の途中で余りの連敗から心が折れそうになる場面が出てきてしまいます。

連敗数が多い場合には、チャートと取引ポイントを見比べながら原因を探る事で、新しいアイデアが飛び出す可能性があります。

平均取引時間・平均損益などの取引期間と平均結果

最後は主に平均値を扱った項目です。

ハイパースピードネクストの取引平均時間や平均期間などのバックテスト平均結果

バックテスト項目の最下部は取引結果の平均値となるデータが表示されていますが、平均値は全体の取引の流れを知る意味で非常に重宝します。

平均取引時間

「平均取引時間」は、新規取引を行ってから決済取引をするまでの平均時間を示しています。どれくらいの間、ポジションをホールドしているのか知る事ができるので、実際の運用スタイルを知る事ができます。

特に平均取引時間が長い場合には、スワップポイントの受け取りや支払いが生じる事を考慮する必要があります。

最大取引期間

「最大取引期間」は、1回の取引で最大でどれくらい間ポジションをホールドしたか(新規取引から決済取引までの間)を示しています。「最大取引期間」が突出して大きな数値となっている場合には、「平均取引時間」を1回の取引だけが引き上げている可能性があります。

また、異常数値となっている場合には、その取引の決済注文やストップ(損切り)のロジックが不安定な可能性を示しています。

最小取引期間

「最小取引期間」は、「最大取引期間」と反対に1回の取引での最小のポジションホールド期間を示しています。

「平均取引時間」と比較して、「最小取引期間」が異常に小さな数値が出ている場合には、経済指標発表等による大相場の影響を受けた取引がある可能性があります。そのような場合には、売買ポイントを実際のチャートにおいてみて目視による確認で解決を目指したいところです。

平均損益

「平均損益」は、1回の取引での平均的な損益を示しています。数値はもちろん「総損益」がプラスならばプラスの数値、マイナスであればマイナスの数値となりますが、特に1回の取引でどれだけ利益を追求しているのかを知る事ができます。

平均利益

「平均利益」は、「総利益 ÷ 勝取引数」で求められた数値ですが、勝つ取引では平均いくらの利益が追求できているのかを知る事ができます。

「平均利益」は、決済注文の置き場所としても使える事が多く、特にストラテジをシグナルで使う場合に、取引に目処を付ける事ができるので重宝します。

平均損失

「平均損失」は、「総損失 ÷ 負取引数」で求められる数値で、「平均利益」とは反対にストップの置き場の目安として使う事ができます。

例えば、「平均損失」をより少し多い数値にストップを入れる事で、大きな損失を食い止める役割を果たし、良質なストラテジへと変身させる可能性があります。

ハイパースピードネクストのバックテスト結果の見方まとめ

これまでの「ハイパースピードネクストのバックテスト結果の見方」のまとめです。

  • 「総損益」の数値が、全てのバックテスト結果の基本となる
  • 「最大ドローダウン」が大きいストラテジには要注意
  • 「シャープレシオ」が高いストラテジは優秀な可能性が高い
  • 「プロフィットファクター」は、取引額で変化があるので注意する
  • 「総取引数」が少ないバックテスト結果は信憑性が低い